飛田さんが車から降りて琉衣さん側のドアを開けた。
当然のように琉衣さんはさっと降りる。
私も降りようとドアに手をかけた時に、琉衣さんがドアを開けてくれた。
「ありがとう。」
琉「…周りが何と言おうが、香苗は俺のものになった。
それは変わらない事実。
お前一人で認めてもらおうとしなくていい。」
「……うん。」
差し出された手にそっと自分の手をのせ、車から降りた。
降りた後は世間で言う恋人繋ぎというものをして玄関に向かって歩く。
組員さんたちはざわざわしており、目の前の光景が信じられないという目をしている。
私は足を止め、組員さん達全員を見る。
「…初めまして。
平井香苗といいます。
昨日から今日にかけて、皆さんに何も声をかけず泊まらせていただいてすいませんでした。」
皆さんに聞こえるように言い、頭を下げた。
そんな私の頭を琉衣さんはぽんぽん、と撫でてくれた。
琉「こいつは…香苗は俺の女になった。
今日からここで住んでもらおうと思って
いる。
何か言いたいことがある奴は遠慮なく言ってくれ。
いきなり一般 人を連れてきて、勝手な事を言っているのは承知している。
だが、認めてほしい。」
「お願いします。」
二人で頭を下げると周りは慌て始めた。


