車でそのまま学校まで送ってもらうが、時刻はもう9時を過ぎていており授業は始まっている。
それでも行かないよりましだと思い、車から出ようとした。



「飛田さん、送っていただいてありがとうございました。
それじゃぁ琉衣さん…行ってきます。」


琉「行ってこい。
全てぶち壊してこい。」


「…うん‼」




再び行ってきます、と言ってから車から出る。
そして深呼吸を一度してから学校の中へ入っていった。


授業中であるが、どこの教室からも喋り声がたくさん聞こえてくる。
…まぁ真面目に授業を聞く人は少ないから仕方ないか、と考えながら迷わず教室に入った。
すると生徒全員の目が私の方へ向いた。




‐平井さん、大丈夫?‐

‐別れたんだよね?しかも篠森さんに裏切られたって聞いたけど…‐

‐藤堂君も本当にありえないね。二人して最低すぎるし‼‐



口々にみんなが私に言ってくる。
今までの私なら悲しそうな表情をしながら同情を買ってもらえるようにしていただろう。
でももう私にはそんなことをする必要なんてない。

琉生さんにも言われたように、私はここでの私をぶち壊さないと…。





私は表情を作ることなく全員に聞こえるよう大きめの声で話した。




「…別に。そもそも私も二人の事信じてなかったし、何とも思ってないよ。
あの二人が私の事をどう思っていようがどうでもいい。

所詮他人だし、私の事をわかってもらいたいとすら思わない。


っていうか、あなたたちも私の事…モデルという肩書しか見てないでしょ?
人の事言えないよね。」




いきなりと私の態度の変化に全員が戸惑っていた。
しかし、次第にみんな口を揃えて「心配してるのに冷たい」だの「顔がいいからって調子のるな」だの 色々言ってきた。




「今まではさ、モデルしてたし周囲の印象を大事にしてたけど、私にはもう必要なくなったんだよね。
無駄な労力使いたくないしさ。

というわけで、私もうモデル辞めるから周りでどれだけ騒いでも何ともないから。」



罵声が飛んできたけど無視して席に着いた。
ふと周りを見ると月華の姿がなく、休んでいるようだった。
まぁ私には関係ないけど。

他のクラスにも私の隠していた本性について知れ渡ったようで、ぼそぼそと「性格悪すぎ」だとか色々言われたが、無事一日を終えた。