溺れるくらいの愛情を。





シーンとした車内は気まずくてしょうがない。
私の肩を抱くようにして座っている琉衣は全く気にせず目を閉じっている。

……気まずく思ってるのは私だけなの?




そんな空気に耐えていると、自宅についた。




「それじゃぁ行ってくるね。」


琉「……すぐ帰ってこいよ。」


「うん。
出来るだけ早く済ませてくるね。」



車から降り、扉の前で一度深呼吸してから家の中へ入った。
玄関の靴を見ると、萌乃の靴だけがなかった。
…まぁ学校に行ってる時間だよね。

萌乃は私と違って私立の学校に通っている。
学力はおそらく私の方が上だろう。3人で萌乃の成績の話をしている時にたまたま耳にした。



そんなことはどうでもいいか。
両親の靴はあったし、父親は遅出か何かかな。
私にとっては都合がいいから問題ない。



そっと部屋に行き、自分の服や教材など必要なものを大きなカバンに詰め込み、二人がいるであろうリビングへ行った。

案の定二人はリビングで椅子に座り、コーヒーを飲んでいた。
私の存在に気付くと思いきり睨み、罵声を浴びせてきた。



母「なんで帰ってきてるのよ‼
あんたなんかいなくなればいいのに‼」


父「はぁ…出ていったんだと思ったんだけどな。
何しに戻ってきた。」


「出ていくっていう報告。
もう戻ってくることないから。

近所の人たちにも勝手に私が出ていったって言ってくれて構わないから。」



それから何も聞かずに荷物を持って外へ出た。
これでいい。元々お金がたまったら出ていく予定だったんだ。
こんな人達、こっちから捨ててやるんだ。