溺れるくらいの愛情を。





琉「何ぐだぐだ考えてんのか知らねぇけど、今日からお前の居場所はここだ。」


「あ…そういえばここどこなの?」


琉「俺の家。要するに岩本組本家だ。」




……そんなところでのうのうと私は寝ていたのね。




「えっと…とりあえず、家に帰るね。」


琉「は?
さっきも言ったけどここがお前の居場所だ。
帰る場所も、いるべき場所もここだ。」


「流石にそれは…。
いきなりすぎだと思うし。
家出るなら一人暮らししようかなって考えてたから…。
それに私一般人だし、場違いだと思う。」



モデルで稼いだお金がある。
一人で暮らしていくには十分なお金だ。

お金が少なくなっていき、生活がひもじくなる前にそれなりに稼げるところで働こうとも思う。
正直生活まで見てもらうような、そんなおこがましいことは出来ない。




そんなこと考えていると琉衣が思いきり抱きしめてきた。




琉「もう働く必要はない。
それに周りに愛想振りまくることもしなくていい。
俺にだけいろんな表情を、感情を見せてくれればそれでいい。

場違い?
はっ……んなことねぇよ。
今はこっちの世界に入りこめてねぇが、そのうち…俺の元まで必ず堕ちる。


それに、一人暮らしなんて俺がさせるとでも思ってるのか?
んな無駄な考えやめとけ。
公共の場でこの俺が抱きしめて連れ帰ったんだ。
そのことはもうありとあらゆるところに広まっているだろうな。」



くくっ…と押し込めるようにして笑う琉衣。
そして追い打ちをかけるように話を続ける。