溺れるくらいの愛情を。






周りの声に耳を傾けてみると色々な声が聞こえてきた。



‐あの冷酷な組長が香苗ちゃんを抱きしめてる‐

‐嘘でしょ⁉岩本組の組長って女嫌いじゃなかったっけ⁉‐





…組長?
え、私を抱きしめてるのって岩本組組長…?

岩本組は日本で3つの指に入るほど有名な組。
薬物は取り扱ってないが、金の貸し渡しや縄張り争いとか…極道なだけあっていい話は聞かない。
そして3年ほど前に組長が変わった、と聞いたことがある。
容姿端麗、喧嘩も強いし頭もきれているということで有名だ。
女に対しては格段に冷たいという事でも知られている。




というより、私はどうして抱きしめられているんだろう。
そんなこと考えていると組長さんが話し出した。




組長「平井香苗にはモデルという肩書しかないだと?
お前らの目は節穴か?
こんないい女、ほかにいるとでも?
見た目だけでしか人を判断できねぇなんて、お前らの方がよっぽど哀れだな。」




極道の、しかも組長には流石に逆らえないみたいで二人は若干震えながら黙っている。




組長「いつもニコニコして気持ち悪いだって?
こいつが本気で笑ってるとでも思ってんのか?

どう見ても作ってるようにしか見えねぇのによ。
こいつはな、誰よりも冷静なんだよ。
本気で笑ってる顔なんてしてなかっただろうが。

あと、本気でこいつは誰よりも友情や愛情なんてもの信じてねぇんだよ。
そんなことくらい一緒にいりゃわかんだろ、馬鹿が。」




意味が分からないくらい合ってる。
どうしてそこまで私の事を理解しているのかが本気でわからない。
……訳が分からない。