溺れるくらいの愛情を。





周りの声を無視してさらに話をする二人。
その言葉をぼーっと聞いていた。



月「これが現実。
所詮顔だけのあんたなんて本当に愛してくれる人なんていないのよ。
あーあ、可愛そうに。」


直「モデルっていう肩書しか取り柄がねぇだんだよ。
今までだってそうだったんだろ?
声かけてくる奴は男女問わずモデルの彼女・友達が欲しいだけだったろ?
周りはそれしか興味ねぇんだからさ。」



そんな事わかってる。
だから月華の事を口では親友とか言ったけど、正直他人でしかないと思ってたし、直久の事だって好きだなんて思ったことない。
中身じゃなく、見た目やモデルとでしか見ない人達なんてどうでもいい。

というより、私は自分以外どうでもいい。



私が友情だとか、愛情だとかそんな形のないものは信じていない。
根拠のない人間の感情に興味なんてない。




月「それにあんたっていい人ぶってて気持ち悪いんだよね。
いつもニコニコしてさ、ありえないし。」


直「それわかるわー。」




次々と私に対する不満を言ってくる二人。








その時、ただただ二人の話を聞いている私を後ろから誰かが抱きしめてきた。
いきなりの事に私も、そして二人も状況が分からなくなっている。



唯一わかることは、私を抱きしめているこの腕の中がすごく暖かいことくらいだ。