溺れるくらいの愛情を。





‐うわー最低。親友のくせに彼氏横取り?‐

‐対して可愛くもないし、性格も悪いとか終わってるな‐

‐あの彼氏もスリル感とか意味わかんないんだけど。‐

‐あの香苗ちゃんの彼氏だったから顔はそんなに悪くないけど、性格がありえないわ‐



そんな周りの声に二人は慌てだした。
月華にいたっては予想外の展開だったせいか、自分が悪く言われていることに顔が少し青くなっている。

ざまぁみろ、と心の中で罵る。



月華は開き直ったように次々と喋りだした。



月「私は悪くないし。
原因はあんたでしょ?
モデルで忙しいからか知らないけど、直久のこと放置しまくってさ。
学校でしか喋んないとかありえないからね?

だから私があんたの代わりに直久を癒してあげてたの。
それが問題なわけ?
私と直久は想い合ってるんだから。


それにあんた勘違いしてるみたいだけど、直久があんたに告白したのはモデルの彼女がいるっていうステータスが欲しかったからだよ?
別にあんたが好きだから告白したわけじゃないんだから。」


直「おい‼‼」


月「なに?私間違ったこと言った?」


直「はぁー…間違ってねぇけどさ、それ分かってんなら言うなよ。
めんどくせぇだろうが。


…まぁ月華の言った通りさ。
俺はお前の傍で応援したいとも、リラックスできる存在になりたいとも思っちゃいねぇーよ。
周りと違う事言っとけば釣れるかなーって思っただけ。」





ここまで言われても何とも思っていない私は本当におかしいのかもしれない。
何とも思わない。辛いとも、悲しいとも、腹が立つとも……何の感情も出てこない。