京「…冬香。」

京「…無視すんなよ。」

京「おい。」



何度声をかけても返事は無いし、瞼は閉じたまま。

…いつの間にか俺は冬香の手を握ってた。



冬香「………一ノ瀬……さん…?」

京「冬香…!」

冬香「…大好きです。」



やっと目覚めたと思えば手をグイッと引っ張られ、大好きと言われ、腕を抱かれる。

…頭、強く打ったか?



京「頭おかしくなったのか?」

冬香「違います。本気です。」



そう答えながら此方を見る目は本気だった。



冬香「一ノ瀬さんは…どうなんですか?」

京「え?」

冬香「私の事、探してたんでしょう?…雪ちゃんの…生まれ変わりを…」

京「え、うん。そうだけど…」

冬香「私の事、どう思ってますか?…雪ちゃんの生まれ変わりとしてじゃなくて…宮野 冬香として…」



言葉が詰まる。

なんて言えばいいんだ…?

"思っている事を素直に…"

そうだ…素直に…



京「好き。だから…寝てろ。」



やっと言えた、ホントの気持ち。

16年間…ずっと雪の生まれ変わりを探してた。必死に、懲りずに…

けど実際、居たのは雪ではなく、別の少女だった。…雪の思いを継いだ……



京「絶対、離さないから…」



離す訳がない。

だってコイツは…

『俺の"大切な人"だから…』