ーーーーーーー10年前ーーーーーーー



私、瀧澤陽菜 (たきざわ ひなた)7歳の夏のことだ





私の思い出の人、武内 悠馬



彼と出会ったのは、彼が私の家の隣に引っ越しして来たからだった





転校してきて同じクラスだったけど彼と関わることはなかった







彼はいつも楽しそうにするときは、決まって本を読んでいるときだ






彼の読んでいた本は私も好きな本だったから彼に話しかけてみた






彼は驚いた顔をして私に次々に本を紹介してくるようになった







お陰であまり読まない本を読まされることにはなったけど、それでも語り合うのは楽しかったから





しばらくして彼は転校することになった




私は彼と思い出の本を交換しあった





そして次会うときに返す約束をして…










彼が転校して初めて寂しいと思った。










ーーーーーーー10年後ーーーーーーーー




現在瀧澤陽菜17歳、もうすっかり高校生です





キーンコーンカーンコーン…






「よーしお前ら、今日は転校生を紹介するからよーく聞け」

(この人は私の担任林だ)





ガラガラガラ…(ドアが開く)





ドアが開いた瞬間、教室がざわめいた





「如月悠馬(きさらぎ はるま)です、よろしく」





悠馬??…いやいやあるわけないよね見た目も
あんなんじゃなかったしだいち名字違うじゃん(笑)









??



あれ ? 今私見て笑った ?

そんなわけないよね(笑)




ま、あんなイケメン私には一生懸かっても縁のない人間だな






「じゃあ如月は後ろの瀧澤の隣だ」









「あの…私瀧澤陽菜っていうの、よろしくね」






あれ ? 何でそんな怒った顔してるの?

私何か怒らせるようなことしたのかな







ーーーーーー休み時間ーーーーーー




「ねぇねぇ、如月君~」


「悠馬君って呼んでいい?」



「いいよ、」



「じゃあ私達の事も下の名前で呼んでね」




「わかった」












何で私の顔見てんのよ

何か言いたい事でもあるの?








ーーーーーーー放課後ーーーーーーーーー


結局今日は転校生に見られっぱなしだったな

もー、一体私が何したってゆーのよ

よし! 今日はもう早く帰って寝よ!!







(陽菜は教室を後にし家に帰ってきた)






あれ??見たことない靴だ、 誰かお客さんでも来てるのかな

















「ただいま~」




「あ、お帰りなさい」






(目の前に如月悠馬が母と楽しげに話していた)




??




「な、何で転校生が家にいるの!?」






「あら、あなた同じクラス何でしょ?懐かしいわ、もう10年になるのね」






「ちょ、お母さん何言ってんの?」






「お母さん、俺から説明しますよ」(微笑み)





「そう? じゃあ私はお茶でも用意してくるわね」





「あ、お構い無く」





(母は部屋を出た)





「どーゆことなの?」(戸惑いを隠せない)






「俺10年前隣にすんでた悠馬だけど覚えてねーだろ?」





「??」





「ちょっと待って!?あなたあの泣き虫悠馬なの?」

「てか名字違うくない?」

「確か如月じゃなくて武内じゃ…」






「失礼な、昔は子供だったんだよ」




「俺の親、再婚したから名字如月になったんだよ…」




「俺は昔からお前の知ってる悠馬だから、
そこんとこ忘れんじゃねーぞ」