あいつに会って、まんまと逃がしちまってから、ずっとこうだ。 なんであんなトロイ女、逃がしちまうんだ。 逃げたあの女もムカつくが、バカな自分が余計に腹立つ。 ああくそ。 いてもたってもいられない気になって、俺は椅子から立ち上がった。 「俺、二時間目サボるわ」 「はぁ?どうしたんだよ急に。なに焦ってんの?」 「別に!」 「ほんと、偏屈くんだね、おまえ」 洸の揶揄を無視して、俺は教室から出て行った。 俺が焦ってるだと? んなわけあるか。 ※