次はいよいよ、舞踏会に赴いて王子様と出会うシーン。
その前に、今日この劇のために協力を依頼した映画製作所のスタッフさんが作製してくれた映像が流れ、馬車がお城に近づいていく演出が披露される。
その間に、わたしはドレスに早替えなんだけど、
王子様役は、もしこの時点で彪斗くんがいなければ、雪矢さんが代役を務めることになっていた。
王子様は反対の舞台袖から登場することになっている。
彪斗くん、来たかな…
なんて気になるけど、
反対袖に見に行く余裕なんてなく、
ドレスに着替え、髪を結ってもらって、あのイアリングをつける。
もし彪斗くんが来ていなかったら、雪矢さんも同じようにして、化粧を落とし早替えして王子様に扮しているんだろう…
どうにか準備を完了させたところで、映像が終わって、ステージが暗転した。
王子様ひとりがステージに立っている状態で照明が点き、そこから第四幕が始まる流れなんだけど…。
反対袖から、王子様役の男の人がステージ中央に向かって歩いてきた。
…けど、
暗くて誰かわからない…。
もっと近くで見ようと近づいた時、ぱっと一斉に全照明が点いて、目がくらんだ。
その瞬間、
キャー!!
と、黄色い悲鳴が舞台袖までつんざいた。
まぶしい照明に目をこらして、わたしは息をのんだ。
そして、ほっとして、思わずしゃがみこみそうになった。
ステージには、彪斗くんが立っていた。



