いや…
いや…
彪斗くんの、唇の感触が、
まだ残ってるの…
乱暴だけど、
意地悪だけど、
熱くて激しい想いを、感じてしまったから…。
消したくない…。
ずっと、ずっと、
感じていたいから…
ごめんなさい、雪矢さん…
「ゆ…き…」
けど、
唇はなにも感じないまま…
代わりに柔らかい感触を感じたのは、
腫れて痛む、左頬だった。
「雪矢、さん…」
こちん、と額同士がぶつかった。
雪矢さんは、長いまつ毛を伏せて囁いた。
「…好きだったよ…君のことが。
心の底から」
過去形…?
「でも君は、それでも彪斗のことが好き。そうでしょ?
そして、彪斗も君のことを…」
「……」
「君は無垢で清らかな、彪斗の小鳥。
愛しくてたまらないのに、でも閉じ込めておけなくて…どうしていいか戸惑っているんだ、あいつも。
真っ直ぐに伝えればすむことなのに、素直になれないんだ。
…だって、あの彪斗だもんね…。
…だから、めんどうだろうけど、君が安心させてあげて…。
彪斗を解かってあげられるのは、君しかいないよ」
もしかして、雪矢さん…。
これを伝えるために、わたしに告白を…?
キスを…?



