不意の雪矢さんの言葉に、わたしは彪斗くんに馳せる想いから意識を戻した。
「彪斗ばっかりずるいよ。
君の歌声も唇も奪って、その上、君を泣かせて。
もういい加減がまんできない。
でも心は…」
雪矢さんが、ゆっくりと近づいてくる…。
「まだ心は、奪われていないなら…
俺がもらっても、いい?」
近づいて、そして、わたしの頬を包んだ。
いつもしてくれたように、のぞきこむように、いいきかせるように、真っ直ぐにわたしを見つめる。
「君が好きだよ。
この学校で出会った時からじゃない。
須田さんに初めて歌声を聴かせてもらった、その時から、ずっと。
君は囚われの小鳥なんかじゃない。
大空を羽ばたく美しい大鳥。
俺が君を導きたい。
俺の曲じゃだめ?
君に数多の曲を創る。俺の君に対する愛の曲を、たくさん、たくさん創るから…」
「雪矢、さん…」
「優羽ちゃん。
君は、誰の小鳥?」
わたしは…
わたしは…
雪矢さんの綺麗な顔が、ゆっくりと近づいてくる。
この距離感…もう解かる、知ってる。
彪斗くんの時と同じ感覚…。
キス、される…。



