夕日に目を細めながら、わたしはたどたどしく口を開いた。
「わたし…彪斗くんのことが解からなくなっちゃったんです…。
乱暴だと思ったらやさしくて、
やさしいと思ったら乱暴にされて…
ホントの彪斗くんが解からない…」
「…彪斗は、ああいう奴なんだ。
彪斗の生い立ちは知ってるでしょ?」
こくり、とうなづいた。
「無理矢理子役をやらされて、自分の心を偽る癖を物心がつく以前から擦り込まれてしまって。
本当にやりたかった音楽活動を始めた時も、父親やまわりに認められようと必死で、まるで獰猛な野生動物みたいに、がむしゃらで。
成功をつかんだ時には、あの性格ができあがってしまっていた。
プライドの高さで本心を隠して、勝手を突き通す、俺様気質がね。
まぁ、あの性格の要素があったから、ここまで昇りつめることができた、っても言えるかもしれないけど」
ふっ、と鼻笑う雪矢さんだけど、そこには嫌みな感じはまったく無かった。
手のかかる弟に苦笑いをうかべるような、そんな親愛のこもった笑いだった。
「とにかくあいつは、自分の気持ちを素直に表現できないんだ。
曲にならいくらでもこめられるのに、ほんと、めんどくさいやつだよね」
でも、そういうところは、わたしもそうだな、って思う…。
さっき彪斗くんが曲を作ってくれたからこそ、想いを歌にして表に出すことができたの思い出す。
じゃあ、
きっと…
あの曲にも、彪斗くんの本当の心が凝縮されているんだな…。
すごく、すごぉく素敵な曲だった…。
言葉にしがたいいろんな想いが詰まっているのが解かって、熱い想いが胸をいっぱいにした。
…そっか。
彪斗くんを解かるのに、言葉なんか必要なかったんだ。
あの曲と、あの曲を聴いて感じた想いが、すべての答えなんだ…。
「ね、優羽ちゃん」
「…?」
「俺と付き合おう?」



