おまえひとりの言動にいちいち翻弄されて、
おまえが他の男の名を言えば、焦ってムカついて…。
くるくる気持ちが変わって、
頭がおかしくなりそうなんだよ。
自分の心なのに、ぜんぜんセーブがきかねぇ。
「ご、ごめんなさい…。
もっとがんばるから…」
離して…と懇願するかのように、優羽が俺の腕の中でか細い声を上げる。
黙って腕の力を緩めると、俺はまた玩具みたいに優羽をふりまわす。
「きゃっ…!」
ドレスの裾に足を引っ掛け、優羽が俺の胸に飛び込んできた。
不甲斐ない自分が悔しいのか、
荒い呼吸を繰り返す顔は、今にも泣きそうなのをこらえるかのように、紅潮している。
ああ。
可愛いな。
慰めてやるべきなのに、
こんな時ですら見惚れるなんて、
俺はもう、どうかしてる。
笑っても泣いても、なにしても可愛くて。
ぜんぶぜんぶ、こいつの存在そのものが愛しくて…。
優羽。
俺さ、
おまえのこと、好き過ぎてたまんない。
どうすればいい。
もう
頭がいっぱいで、破裂しそうだ。
もういい加減、解放してやんないと、
この想いに、押し潰されそうだ。
「…っ!きゃっ!」
乱暴なリードは、とうとう優羽を転ばせてしまった。
優羽は肩で息したまま、立ち上がろうとはせず、俺をにらみあげた。
「…どうしたの、彪斗くん?
さっきからひどいよ。
なにをそんなに怒ってるの?
わたし、なにかいけないこと言った?」
吹き荒れる心とは対称的に、俺はロボットのように無表情に言い捨てた。
「るせぇな。
さっさと立て。グズ」
「そんな意地悪な彪斗くんとじゃ、
練習なんかできないよ…」
「意地悪?」
俺はドレスの裾を踏むと、しゃがんで優羽の顔をのぞきこんだ。
「おまえ、俺が意地悪だって言いたいの?」
「…だって、今日の彪斗くんヘンなんだもん…。
いつもはやさしいのに…今は」
「俺はいつもと変わんねぇよ。
考えていることは、いつもひとつだった。
お前が言うやさしい時も、今も…」
「……」



