俺様生徒会長に鳴かされて。

なにも言えずに強張った顔のままでいる優羽を強引に引き寄せ、ステップを踏み始める。



1 2 3…



ワルツのステップ。



およそ優雅じゃない、乱雑なステップだ。



「おら、とろいぞ。

もっと足を動かせ」



歌唱力としてのリズム感は抜群でも、身体のリズム感はてんで無い優羽がセリフ以上に苦手にしていたのが、

晩さん会に王子と踊る、このワルツだった。



錆びついたブリキ人形みたいになる脚が、ばさばさともたつくドレスに邪魔されて、余計にひどい動きになる。



けど俺は、リードするどころか、いつもより早いテンポで、ほとんど引き回すようにステップを踏む。



「彪斗くん…!

もっとゆっくり…これじゃ練習にならないよ…!」


「厳しく、って言っただろ。

ほら、姿勢が悪すぎだぞ。

もっと背筋のばせ、よ」



ぐいっと優羽の腰を引き寄せる。



…すっげぇ細ぇ腰。

力いれたら、折っちまいそうだ。





コルセットが苦しいのか、優羽はもう息を上げていた。



白い首筋に朱が走り、どくどくと脈打っているのが、色っぽい。



突き離すようにターンさせて、引き寄せると、



「あ…っ」



バランスを崩して、優羽がもたれ掛ってきた。



「…おっと」



俺はその羽のような体重を受け止め、



ぎゅう



きつく抱きしめた。



「ったく、何度練習しても成果ねぇな。

ヘタクソ」



そして、唇がつきそうなくらい近づけて、耳元で低く言った。








ムカつくんだよ。



この俺を、この俺様を





こんなに情けなくしやがって…