なんて、自嘲の溜息を漏らしながら、ファスナーを締めホックを掛けてやったところで、
ふと、優羽の耳元に目が行った。
耳には、さっきはしていなかったイヤリングが揺れていた。
見覚えがあるものだった。
そう
俺があの湖のパークで買ってやった、イヤリングだ。
「おまえその耳…」
「ん…?
あ、これね…」
優羽はおずおずと俺に振り返った。
「このドレスにすごい合うような気がして、どうしても付けたくてお部屋から持ってきたの…」
どおりで。
着替える前に急いで部屋に戻っていったから、なにしてんだと思ったけど…
これを取りに行ってたのか…。
「一緒にまたお出掛けする時にって思ったんだけど、
どうしても、つけたくて。
だってドレスの色とすごく合うでしょ?」
一目で気に入って買ってやった、薄紅色のガラスと金細工でできた、小さなティアードロップ型のイヤリング。
優羽の桜色の頬にぴったりだと思ったからだけど、
なるほど、ベリー色のこのドレスともすごく合うな。
ドレスを見て、真っ先にあのイアリングを思い出してくれたのか…。
無理矢理買ってやったものだから、別に大した思い入れはないと思っていたけど…
優羽のそんないじらしい行動が、俺の胸をあたたかくする。



