『ねー、だからさ、このメンバーで生徒会やれるのもあと数ヶ月なんだし、
今度の学校祭でさ、ぱぁーっと思い出づくりしよーよ!』
と、提案してきたのが、演劇の公演だった。
もちろん、俺と洸はおもいっきり渋面を浮かべた。
演劇…。
しかも「シンデレラ」…だと!?
ついに頭のネジがトんじまったか、あのおチビ…!
と思ったが、
『もちろん、主役は優羽ちゃんだよ!
これはただの劇じゃなくて、優羽ちゃんの芸能界デビューの前哨戦も兼ねてるんだから』
という言葉に、うかつにも俺の心は動かされてしまった…。
たしかに、臆病な優羽には、いきなり大舞台にたつのはきついかもしれないが、
学校祭ならちょうどいい規模だ。
優羽もこれにはビクビクながらも、やってみたいとやる気を見せ、
当初から優羽を惹きたてたい思っていた雪矢もプロデューサー魂をたぎらせ、
自分が脚本と演出をやると宣言した。
ちなみに、問題の王子役だが…。
意外なことに雪矢は王子役を辞退した。
脚本と演出に専念したいというプロ意識によるところが大きいらしいが、
『フィクションで恋人になったって面白くない』という完璧主義の雪矢らしい意地もからんでいたかもしれない。
そうなれば、空席の王子役は決まってる。
『仕方がない。ここは実力派俳優の俺が』と乗り気の洸を黙らせて、
晴れて俺が王子役となった。
おままごと劇とは言え、二度としないと誓った役者をまたやる羽目になろうとは思ってもみなかったが…
優羽とふたりで練習する日々は、小さな喜びの連続で、とても満ち足りていた。
けど。
今日だけは、いつもと真逆の心地だった。



