「行こうよ…玲奈…」
「こいつらって、結局こういう人間なんだよ。
わたしたちのことなんか、使い捨てにしか思ってないんだ」
「サイアクだよね」
玲奈さんは友達と一緒に去っていった。
去り際に、ものすごく怖い目でわたしをにらんで…。
ほどなくして、廊下にはわたしと雪矢さんだけになった。
「大丈夫だった?
ひどいことをされたね…。
ほっぺた、赤くなってるよ…」
雪矢さんの手が頬にふれてきた。
いたわるようそっとふれてきてくれたそのやさしさに、涙が零れそうになる…。
「大丈夫です…。
助けてくださって、ありがとうございました」
「この近くを通ったら偶然君たちを見かけたんだ。
ひどいめにあったね…。本当に運が良かった…。
これでちょっとはこの前の名誉挽回となったかな?
パークの時は、カッコ悪く遅れをとってしまったからね。
…でも、正直おどろいたな。
君があんなにはっきり言うなんて。
すごく、かっこよかったよ」
かっこいい、なんて雪矢さんの口から言われて、
わたしは恥ずかしいような、すっごくもったいないような気になる。
あんなに震えて小さい声だったのな…。
「ありがとうございます…」
「ふふ。
ね?だから言っただろ?
ダサいメガネや髪型はやめた方がいいって。
君のその変化は外見に自信が持てるようになったからなんだろ?
うれしいよ。君がやっと気づいてくれて…」
雪矢さんは本当にうれしそうに微笑んでくれた。
いつもやさしい言葉でわたしを包んでくれる雪矢さん…。
まるでお兄さんが妹の成長を喜んでくれるような穏やかな微笑に、胸がじんと温かくなる。
わたしは雪矢さんを見つめてはにかんだ。



