「見苦しいよ。
こんな人気のない所で寄ってたかっていびるなんて。
どっちが卑怯者だろうね?」
「な…」
「玲奈ちゃん。
あんないい加減なヤツだけど、彪斗は一応君に別れる理由を言ったんでしょ?
『中身のない、スカスカな石ころには飽きた』って」
「…!」
「あいつとはなにかと意見が合わなくて対立ばかりしてるけど、
その理由を聞いた時は、珍しく俺も同感って思ったかな」
見る間に玲奈さんの顔が真っ赤になった。
玲奈さんの友達たちも、さすがに気遣うように玲奈さんを見つめる…。
「な、なによ…!
じゃあ、こいつはちがうって言いたいの!?」
「そうだよ」
雪矢さんは王子様のように綺麗な笑顔を浮かべた。
「俺も彪斗も認めてる。
この子は本物。
『ダイヤの原石』だ、って。
卑怯どころか、生徒会に入るべくして入るような存在だ。
…だから、ダイヤを前にして、わざわざ石ころを選ぶのはオカシイでしょ?」
「…!!」
玲奈さんが耐えるように床をにらむのを見て、
雪矢さんは芝居がかったように、楽しげにうんうんとうなづいた。
「ダイヤは最高の輝きを放つけど、
所詮、石ころはどんなに磨いても、ただの石ころ。
なるほど、ダイヤに敵うはずがないんだもの、卑怯をしたくもなるよねぇ。
石ころらしい、凡人の発想だ」
ついに、玲奈さんの目から涙が溢れた。
雪矢さん…
努力している人に向かって、石ころだなんて…。
わたしをかばってくれているとはいえ、ずいぶん、ひどいこと言うんだな…。



