わたしには、見たい景色ができた…。
歌手になりたい。
歌いたいの。
入らされたとは言え、スタートラインにやっと立った時点で生徒会に居ることはフライングだけど。
でも、
もうなにも知らないふりして、甘え続けるつもりはないよ…?
だって、そんな自分に、なりたくないんだもん…!
わたしなら大丈夫って、彪斗くんが教えてくれた。
だから…
だから、勇気を出して、言わなきゃ。
今、言わなきゃ…!
「あ…あなたたちはすごく、すごくキレイです…。
お化粧も上手で、スタイルもよくておしゃれで、とってもキラキラして見える…」
出した声は、とても小さかったけど、
震えているけど、
それでも精一杯勇気を出して、続けた。
「…たしかにわたしはズルいです…。
あなたたちみたいに、キラキラもしてない…。
けど…
いつかは『あなたたちみたいになりたい…』って思ってる気持ちは本当です」
なるために、ちょっとずつでも、進もうとしているの。
ほんのちょっとしか、進めていないかもしれないけど、
わたしなりに、がんばっているの。
「だから…
だから、そんなふうに言わないでください…。
『あんたなんか』って…
『だめだ』って…決めつけないでください。
やっと目覚めたわたしの気持ちを、踏みにじらないでください…!」
「な…なによ…」
玲奈さんはたじろいだように言葉を詰まらせた。
けど、次第に顔を真っ赤にさせて叫んだ。
「なによ…!
卑怯者が、生意気言わないでよ!」
ぱん!
頬を焼いた痛みは、
鼻先を、ツンとさせた…。
けど、
ぐっと、込み上げてきたものを、こらえた。
「そこまでにしたら?」
そこに、ふと男の人の声が聞こえた。
場ちがいなまでに、穏やかでやさしい声色をしたその人は、
「雪矢さん…」



