※
わたしと彪斗くんは、湖を囲う森の中の小道を進んだ。
「ね、彪斗くん…
雪矢さん、大丈夫…?」
「だいじょうぶだよ。
雪矢は俺とはちがって表に露出しまくってるから、それが裏目に出たな。
いい気味だぜ」
と、彪斗くんは、『もううれしくて仕方ない』って顔をしながらわたしの手を引っ張る。
そっか、彪斗くんは雪矢さんみたいにアーティスト活動しないで作曲に集中しているから、
だからさっきのおじさんにも気づかれなかったんだね。
今日の彪斗くんは、伊達メガネをかけているだけの変装。
他のみんなよりずいぶん簡単で大丈夫かな、って思ったけど、そういうわけなのか。
でも、やっぱり雪矢さん、気の毒だな。
芸能人ってあんな風にプライバシーがないものなんだな。
大変そう…。
それに、予約していたお店はどうしたらいいんだろう。
松川さんに迷惑かけられないのにな…。
と、気にしていたら、
彪斗くんが急に通りすがりのカップルに話し掛けた。
「スミマセン、今から時間空いてたりしますか?」
急に話し掛けられてびっくりしたカップルさんだけど、「一応、空いてますけど」と教えてくれた。
「じゃあさ、もしよかったら、あっちにあるカップル限定のカフェ、行きません?
俺たち予約してたんですけど、急用ができて行けなくなっちゃって」
カップルさんたちもお店のことは知っていたみたいで、彪斗くんの言葉に興味をしめして「ずっと前から行ってみたかったお店だった」と言った。
トントン拍子に話が進み、「予約は一瀬で取ってると思うんで」と伝えると、彪斗くんはあっさりと問題を解決してしまった。
雪矢さんには悪いけど、これで松川さんにもお店にも迷惑はかからないことにできたわけだ。
笑顔でカップルに手を振る彪斗くんの横顔を、わたしは感心しきって見つめる。
いつもいつも思うけど、すごい機転の早さだなぁ。
振り回されてしまうのも、納得だ…。
わたしと彪斗くんは、湖を囲う森の中の小道を進んだ。
「ね、彪斗くん…
雪矢さん、大丈夫…?」
「だいじょうぶだよ。
雪矢は俺とはちがって表に露出しまくってるから、それが裏目に出たな。
いい気味だぜ」
と、彪斗くんは、『もううれしくて仕方ない』って顔をしながらわたしの手を引っ張る。
そっか、彪斗くんは雪矢さんみたいにアーティスト活動しないで作曲に集中しているから、
だからさっきのおじさんにも気づかれなかったんだね。
今日の彪斗くんは、伊達メガネをかけているだけの変装。
他のみんなよりずいぶん簡単で大丈夫かな、って思ったけど、そういうわけなのか。
でも、やっぱり雪矢さん、気の毒だな。
芸能人ってあんな風にプライバシーがないものなんだな。
大変そう…。
それに、予約していたお店はどうしたらいいんだろう。
松川さんに迷惑かけられないのにな…。
と、気にしていたら、
彪斗くんが急に通りすがりのカップルに話し掛けた。
「スミマセン、今から時間空いてたりしますか?」
急に話し掛けられてびっくりしたカップルさんだけど、「一応、空いてますけど」と教えてくれた。
「じゃあさ、もしよかったら、あっちにあるカップル限定のカフェ、行きません?
俺たち予約してたんですけど、急用ができて行けなくなっちゃって」
カップルさんたちもお店のことは知っていたみたいで、彪斗くんの言葉に興味をしめして「ずっと前から行ってみたかったお店だった」と言った。
トントン拍子に話が進み、「予約は一瀬で取ってると思うんで」と伝えると、彪斗くんはあっさりと問題を解決してしまった。
雪矢さんには悪いけど、これで松川さんにもお店にも迷惑はかからないことにできたわけだ。
笑顔でカップルに手を振る彪斗くんの横顔を、わたしは感心しきって見つめる。
いつもいつも思うけど、すごい機転の早さだなぁ。
振り回されてしまうのも、納得だ…。



