「わぁ冷たいっ。
おかえしっ!」
「冷てっ!
やりやがったな…!」
もっと多めに水を投げてやる…!
と意気込んだ俺は、ぎゃ!と悲鳴を上げた。
背中に思いっきり水をかけられた!
「へへーん!
いつも威張ってるお返しだよー」
寧音!
このチビぃい…!
「きゃぁああ!!」
けど、その寧音の背中に思いっきり水飛沫があたった。
「なまいきやってんじゃねーぞ、寧音!」
洸!
よくやった!
「てめぇ寧音こらぁ。
よくもこの惣領彪斗さまにやってくれたな。
たんまりお返し…
つっめてっ…!!!」
まったく不意打ちに、背後に水を食らってしまった!
どいつだ!
って振り返れば、
優羽!
「ね、寧音ちゃんをイヂめちゃだめっ」
「はぁ?優羽おまえ…
いい度胸してんなぁ…」
「ご…ごめんなさい…つい」
がしっ、と優羽の細い手首をつかんだ。
あーもう、
このまんまどっか連れていって、お仕置きしちまおうか…!
「…!!って、冷たっ!!」
「優羽ちゃん逃げてっ!」
「だから寧音!お前はウザいんだよぉお」
「冷てっ!なーんで俺までかけんだよー彪斗っ」
と、洸まで水を飛ばしてきて、
その後はもう、ひっちゃかめっちゃかだ。
「おまえらはガキか…」
その後、唯一傍観していた雪矢にさんざん怒られ、
びっしょびしょの姿のまま、さっきとは真逆な不快な心地で、俺たちは帰りのカヌーに乗ったのだった。
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