「ばかだねーおまえ。
俺たちがこんなところ行って顔割れて見ろよ、
大騒ぎになって楽しむどころじゃなくなるしょ」
洸があきれて、寧音の頭を小突いたが、
寧音は引き下がらない。
「だいじょうぶだよぉ。
人目についたところでそう簡単にバレないよ。
『ちょっと似てるかも』くらいで、まさか私たちだなんて気づかないって」
「でたー寧音のノー天気。
ま、テレビに出ている以外のおまえなんて、小学生のガキと大して変わんないしなー、
っ痛ぇ!」
フォークで洸の手をグサリとやると、寧音は続けた。
「ねー行こうよ!
こんなに広いんだし、地味なかっこうで平日の午前中とか狙ってけば、絶対に大丈夫だよ。
それに、
優羽ちゃんの歓迎会だってまだでしょー?」
と俺と雪矢を交互に見て言う。
このチビ、なかなか抜け目ない。
俺が『優羽のため』と言われるのに弱いと知っての狙いか…。
まぁでも確かに、優羽には『自分が正式な生徒会メンバー』と自覚してもらうためにも、歓迎会は必要だろう。
俺のワガママで入れたことにはなっているけど、眠っている才能を考慮すれば、よゆーで生徒会入りできる実力はあるんだし。
それに、優羽は少しおどおどし過ぎなところがある。
この機会にそういう損するような性格を少しでも変えてやりたかった。



