「ちちちち」
小鳥たちに囲まれ、わたしは少し声を高くして、ありがとうと思いを込めた。
チチ
チチチ
そうすれば、小鳥たちも嬉しそうに返してくれる。
もう、涙は完全に乾いていた。
やさしい子たち。
あなたたちの可愛い歌声を聴くと、わたし、元気になれるんだよ…。
『優羽』
『おまえの歌声はみんなを幸せにする』
お父さん。
わたし、歌手になんてなりたくないよ…。
どうして、お父さん…。
『歌を歌うのが好きだろう?』
好きだけど…
誰かに聞いてもらいたいなんて考えてなかった。
ただお父さんに褒められるだけでうれしかったのに…。
せっかくとまっていた涙が、また溢れそうになる。
泣いちゃだめだ…。
わたしは高原の涼しさを含んだ空気を吸って
大好きだった歌を口ずさんだ。
悲しい時、苦しい時は、歌を歌えば元気になれた。
バサッ
不意に―――
小鳥たちが一斉に飛び立った。



