「……滝沢……先輩?」



ベッドの上に乱暴に下ろされその上には滝沢先輩の体が重なっていた


状況について行けずに滝沢先輩に呼びかけるも先輩はぴくりとも動かない



ただ、滝沢先輩を怒らせてしまった事だけは分かる




「誰でもいいの?」


「え……?」



何の事だろう?と首を傾げてると突然唇に生暖かい感触が押し付けられた


何!?!?!?

何で私滝沢先輩にキスされてるの?

パニックの中、先輩の唇が少しだけ離れた


暗闇に慣れた目が至近距離の滝沢先輩の顔を捉えた


「…誰でもいいんでしょ?」


低く冷たい声

一度だけ…この声を聞いた事がある


瞬のファンに虐められていた時だ

たまたま通り掛かった滝沢先輩が助けてくれた時、私を背に隠しながら女の子たちに言った


『何してんの?コイツに用あるなら代りに俺が聞くけど?』


背筋がピリッと凍りつくほどの怒りを含んだ彼の声


あの時は背に庇われて居たから滝沢先輩の顔を見ることは出来なかったけど



こんな顔をして居たんだ………