―もう私に構わないで―


それは、本音であって本音じゃなかったのかも知れない


ただ、この時の私は他人の気持ちに鈍感過ぎて気がつかなかったんだ




その言葉を言ってしまった後、滝沢先輩に腕を掴まれ、引き摺られる様に部屋の前まで連れて来られた



「ちょっ…先輩!痛いっ…離して……」



何度も体を捻って抵抗するにも、男の人の力に敵うはずもない


それに、滝沢先輩の顔が怖すぎて体に力が入らない



綺麗な人が怒るとこんなにも迫力が増すものなんだ




「鍵!!」



ドアの前に辿り着くと滝沢先輩が叫んだ



滝沢先輩がイライラしてるのが伝わって来て、私は慌ててバッグから鍵を取り出した


鍵はすぐに滝沢先輩に奪われて腕を強く引かれ中に押し込められた




真っ暗な部屋の中では何が何だかわからない



手探りで灯りのスイッチを探そうと手を伸ばした時私の身体は宙に浮いた