ねぇ、瞬
あなたはいつも
誰を見ていたの?



私はあなたの瞳に写るただ一人の女の子になりたかった





「瞬?何見てるの?――あ‥」


立ち止まってどこかをぼんやり眺めてる瞬を見つけそっと背後に立つ


その視線の先にはいつも決まって同じ人物‥‥



「お‥お似合いだよね!美鈴先輩と滝沢先輩!あの二人うちの学年でも美男美女カップルで有名なんですよー」


私はなるべく明るい口調で瞬に話しかけた


でも、心の中ではいつも不安で押し潰されそうだったんだよ



「‥‥そうだな」


瞬はそう言うと静かに瞼を伏せた


まるで見たくないものから目を逸らすかの様に――‥‥



その痛々しい姿を見ると私の胸はズキズキ痛んだ


それでも瞬を離せないのは瞬を失いたくないから



いつか瞬の中から美鈴先輩が出て行ってくれる事だけを信じて――――‥‥‥