「カメラマンになる夢を諦めたって言った話し覚えてる?」


突然の先輩の言葉に私は息を呑み記憶の糸を辿る


「確か……守りたいものが出来たからって」


「そう、その守りたいものが―――お前だよ。お前の傍でお前の笑顔を守ってやりたかった」


「……嘘っ…、だって私……」

ずっと先輩に嫌われてると思った

瞬と美鈴先輩と三人だと楽しそうに話してたのに、そこに私が加わるといつも眉間に皺寄せて難しい顔ばかりしてたから


てっきり嫌われてるんだと……


「あの時は一度美鈴と別れた後で、美鈴と別れたら瞬はお前捨てて美鈴の所に行くんだと思ってた」



――けど、瞬は美鈴先輩の所には行かなかった



それは、美鈴先輩より私を選んでくれたって思ってもいいの?


「お前さ、瞬と一緒に居る時いつも不安そうな顔すんのな。他のヤツと居る時はそんな顔しないのに」



前に滝沢先輩のマンションで見たあの写真


あの顔の事だろうか……


だってあの頃は不安で
瞬が美鈴先輩の所に行ってしまうんじゃないかって
不安で………




いつも胸が押し潰されそうだったんだもの