星月夜



私が大学を休学した理由は、通えなくなったから


門の前に立つと、目眩や吐き気に襲われて一歩も動けなくなる


理由は、きっとあの“噂”


事実なのだから嘘ではないのだけど…


何処に居ても向けられる好奇の視線に耐えられなかった



それは月日を隔てて噂が消えても変わる事がなかった



他人の視線が怖い



瞬との思い出がたくさん詰まったあの場所が怖い



上手く呼吸が出来なくなるのだ



「だから、もう大学には通えない。お見合い相手の人も納得してくれてるし、学歴も必要ないって言ってくれてるらしいから…」


「それでいいの?」




通えないって言ってるのに“それでいいの?”って質問は可笑しいよね?


「いいも何も…」


それしか選択がないなら、私は楽な方を選ぶ


「七瀬はそんな良く知らない相手と結婚したいの?本当にそれで幸せになれるの?」



……あ、見合いの話しか



「もう決めた事だから」



だから口出ししないで!と言う意味を込めて強めの口調で言い放った