遊園地についた。

色々な乗り物に乗って。
ラストは観覧車に乗ることにした。

「わぁ〜きれ〜」

「綺麗だな」

そういう直輝の目は、なぜか寂しく見えた。観覧車が4分の1くらいまで来た。
すると。

「ももか?」

「頂上に着いたら、伝えたいことがある」

「えっ?」

直輝はプロポーズとかしてくれるのかな?
わからないけど、とりあえずウキウキしていた。
でも、直輝が発した言葉は、思ってもない言葉だった。

「直輝、頂上着いたよ。伝えたいことって、なに〜?」

「ももか」

「ん〜?」

「俺と、別れて欲しい」

え?

「えっ?」

「ていうか、別れた方が身のためだ」

「なんで!?直輝。私の事嫌いになった?でも私は直輝が好き。大好き。だからまた惚れさせるから!やり直そうよ!」

本当は逃げ出して泣きたいよ。
でも…。ここは観覧車。だめだ。

「あのさ、なんで俺がいっつもマスクしてるかわかる?」

「わかんない…」

そういって直輝は、マスクを取る

「えっ…?」

直輝は出っ歯だった。
でも私はそんなこときにしない。
直輝のすべてが好きだから。
そんなことで別れよう。って。
軽すぎるよね。

「俺さ、小学校ん時いじめられてたんだよ。みんなに出っ歯出っ歯ってからかわれてさ。でも、中学校入ってからそのいじめはなくなった。でもももかとつきあいはじめてから、『出っ歯の彼女かわいそー』とか『出っ歯の事知らないんで付き合ってんの?』とか言われて。俺、すげー悲しくなった。でも、気づいたんだよ。この悲しみは、自分がからわかれてる悲しみじゃなくて、ももかがかわいそう"っていう思いなんだって」

そこまで話終えると、私はもう泣いていた。

「直輝…」

「ん…?」

「私、そんなの気にしないよ。直輝の性格も顔もすべてが好きだから。そんなことで別れたりしないから。」

「ありがと。でも、別れる。」

「なんでよ!」

「俺、出っ歯の隙間に爆弾仕掛けられててさ。先週の林間の時、寝てるあいだに詰められたんだ。だから、死ぬ。観覧車がつく頃に死ぬ。それに合わせて今日は来たんだ。」

「なんでよ!」

そう言ってるあいだに、観覧車は着いていた。降りて歩いていると。

ー バァーーーーーン

「なおき、直輝っ!!!!!!!」

直輝は、帰らぬ人となった。