洸と再会してから一か月ー


季節はすっかり春から夏に変わっていた


そして、この日は終業式ー


明日から夏休み


紗智達にとって高校生活最後の夏休み


受験生でもある三人にとって
大事な時期でもあった・・・


「はぁーやだなー。」

葉月は通知表を見ながらため息をついた


「どうしたの?葉月。」

隣で紗智は通知表を見る


「こんな成績じゃ受験ヤバイかもー!
紗智は、どうだったのー?」


葉月は、いきなり紗智の通知表を覗いた


「ちょっ・・・葉月!」


「!・・・何これ?あんた凄くない?」

葉月は紗智の通知表を見て驚いた


「まー紗智は、もともと成績悪くないし
努力家だもんねー。塾も行ってるし。」


「そんな事ないよ!葉月も大丈夫だって!
バイトしてんのに凄いよ!」


「紗智は優しいなー!
でもマジ頑張らないとヤバイかも・・・。」


「じゃあー葉月も塾、通う?
夏期講習もあるし。」

「うーん・・・。そうするかなー。」

「ほんと?じゃあー
一緒に夏期講習、申し込みに行こ!」


何故かテンションの高い紗智

そんな紗智についていけない葉月


そんな二人に


「何だよ?そんな騒いで。うるせーな。」

「実。」

後ろから実が話しかけてきた


「うるさいとは何よー。
実、あんた通知表どうだった?」

葉月が言った

「通知表?まぁまぁだよ!」

実が言った

「もしかして悪かったんじゃないの?!
いいから見せてよ♪」

葉月はそう言うと実の手から
通知表を取り上げた

「おいっ!何すんだよ!」

実が言うと

葉月と紗智が実の通知表を見る

「・・・・・。」

二人は驚いた顔して実を見た

「なっ、何だよ?」

実は二人を見て言う

「・・・あんた、こんなに成績良かったっけ?」

葉月が疑うような目をして言った

「凄いよ!実。この成績なら狙える大学とか
あるんじゃないの?」

紗智が言った


「・・・大した事ねーよ。いいから返せよ。
それに俺には行きたい大学があんだよ。」

実は、そう言いながら
葉月の手から自分の通知表を取った


「行きたい大学って、どこ?!」

葉月が聞く

「教えねーよ!お前らもいい加減、進路決めろよ。
受験まで半年ぐらいしかねぇんだから。」

実が取り返した通知表をカバンに入れながら言った

「人が気にしてる事をー!」

葉月が落ち込みながら言う

「実、いつの間に決めてたの?」

紗智が実に聞くと

「・・・ずっと前から決めてた。
だって俺らの大事な将来の事だぜ?
好きな事をしたいって思うのは普通だろ?
お前らも好きな事や、したい事とかあんじゃねーの?」


「好きな事?」

「したい事・・・。」

紗智と葉月は考えたー

でも、すぐには思いつかなかった・・・

「まぁー焦らず考えてみろよ?
今度、三者面談あるんだし。」

実が何だか凄く大人に見えた二人

「実のくせに生意気な・・・。」

葉月がボソッと言った

「何だよ!
人がせっかくアドバイスしてやってんのに!」

実が言うと

「ねぇ?実・・・。」

「何だよ?」

「実の好きな事って、もしかして?」

紗智が聞くと

「・・・とにかく!
この話は、もういいから行こーぜ。」


実は紗智の質問を無視するように言った

「・・・・・。」

「実、部活は?」

「今日はねーよ。」

実と葉月が会話している後ろで
紗智は思った


実は、やっぱりバスケが好きなんだ


小さい頃、言っていた

バスケの選手になる夢は本当だったんだ

諦めてなかったんだ


バスケが出来る大学に行くのかな?


紗智は、そう思った

実の口から聞かなくても分かる


幼馴染である勘と言うか


そうであってほしいという
気持ちからでもあったから


実のバスケをしている姿、
頑張っている姿を知っているから・・・


紗智は、そう思いながら
二人の後ろを歩いていた