clover*


駅に向かう三人

「ねぇ、これからどうするの?」


葉月が二人に聞く

「どうするって・・・
俺は、このままじゃ嫌だ。
洸の過去を知ったからには
洸をほっとけねぇよ。」

「だよね・・・。
私も、このままじゃ嫌かも。」


「・・・・・。」

「紗智?」

「え?」

「どうした?」

「え!何でもないよっ・・・!」

「・・・紗智、隠す必要ねーよ。
お前、洸が心配なんだろ?」

「・・・実。・・・うん。」

「やっぱり。」

「紗智・・・。」

「私、実の友達の話を聞いて
正直ショックだった。信じたくなかった。
けど事実なんだって思った。
洸が、この半年間どんな気持ちだったか
考えるだけで凄く辛い。苦しいの。
自分だけが、この半年間、辛いって
思ってた自分が恥ずかしく思えたの。
洸に申し訳ないなって。
洸は私と比べ物にならないくらい
辛かったはずなのに・・・!」

「紗智・・・。」

葉月が泣き出す紗智を優しく慰めた


「・・・洸が何で俺達と
連絡取らないようにしたのか分かるよな?」


「それは事故のショックとかじゃないの?」


葉月が言う

「それだけじゃないだろ。
多分、俺らの為かもしれないな・・・。
俺らに心配させたくないとか。
洸って、そーゆう奴だよな。」


「実・・・。」


「バカだよな、あいつ。
そんな事したら逆に俺らが辛いのに。
連絡取れなくなる方が・・・嫌だろ。」


「・・・・・。」


「けど知ったからには
俺はもう、あいつを支えたい。
あいつにとったら違うかもしれないけど
俺にとったら、あいつは友達だから。
だから、あいつにどんなに拒否られても
嫌われても俺は洸の力になりたい。」


実の心強い言葉、その真っ直ぐな思い
真剣な瞳に紗智と葉月の心を動かしたー


「うん。私も洸の力になりたい。
だって私も洸の友達だから。」

葉月が笑顔で言う

「うん。・・・紗智は?
お前は、どうする?どうしたいの?」


「私も洸の力になりたいし支えたい。
もう洸に辛い思いさせたくない。
私達で洸の笑顔を取り戻したい・・・。」


紗智の目から涙は消え
その瞳は強いまなざしへと変わっていた・・・

紗智の言葉に実と葉月は
安心したような表情で笑ったー


「よし!じゃあーそういう事で。」

実がニッと笑って言った

「で?どうするの?今から洸の所に行くの?」

葉月が言うと

「ばーか。今から行っても面会時間なくなるわ。
とりあえず明日、行くぞ。」

実が言う

「・・・・・。」

「紗智?」

隣で葉月が紗智に声をかける

「ん?何?!」

紗智がボーっとしていたが
葉月に声をかけられハッとした様子で言った


「・・・ほんとに大丈夫?」

葉月が心配そうに聞いた

「大丈夫だよ!ごめんね。心配させて。
明日、洸に会うんだよね?行こう!」

「う、うん・・・。」

「・・・・・。」


紗智は二人には黙っていたけど
本当は凄く不安だったー


洸が本当に自分達に
心を開いてくれるだろうか?

洸の心の傷を
癒すことが出来るだろうか?

洸を笑顔にすることが
出来るだろうか?


そしてー

知りたかったような知りたくなかった
洸と愛菜の関係を知り
紗智はどうしていいか分からなかった


洸の顔を見れないかもしれない


今でも彼女を好きなんじゃないかって


自分が洸を好きになる資格なんてない

そう強く思ってしまったからー


でも諦めたくはなかった


洸を好きになって恋をして

心から良かったって思ってるから


洸を失いたくないから

二度と後悔したくないから


私は洸が好きなんだ


想いを伝えなくても

想いが通じなくても

好きでいるだけならいいよね?


ただ側に居させてください


洸の側に居られるだけでいい


決めた・・・


私は洸の笑顔を取り戻すまで


洸の心の傷が癒えるまで

洸の怪我が治るまで


洸に想いを伝えない


今は洸の負担になりたくないから・・・


紗智は、そう強く決意した


駅のホームで電車を待った


電車が来て

電車に乗る瞬間ー

新たな気持ちと思いも一緒に乗せるように

紗智は電車に乗った・・・


三人は電車の中では一言も喋らなかった


何を考え何を思っているかなんて分からない


ただ三人の気持ちは


それぞれが前に進んでいたー・・・


でも紗智は気付いていなかった


この時の実と葉月が何を考えていて
何を思っていたか


そして今、まさに洸が
愛菜から告白されていたなんて・・・


気付きもしなかったー