clover*



紗智が病室を出ると

実と葉月が居たー


「実・・・。何で、あんな言い方。
洸の気持ちも考えてあげないと・・・。」

紗智は実に言った

「・・・わりぃ。ついカッとなって。
何かさスゲー悔しくてさ。
あいつの力になれない自分に腹立ってさ。」

「実・・・。」

「・・・俺、先、帰るわ。・・・じゃあな。」


そう言うと実は二人を置いて歩いて行ったー


「じゃあね。」

紗智と葉月は実のどこか寂しそうな背中を
見送ったー

「私達も帰ろうか?」

「うん。」

紗智と葉月も帰る事にした


病院を出て二人は無言のまま歩いた


紗智は、さっきの洸と実の会話を思い出していたー



洸の気持ちも実の気持ちも凄く分かる

分かるから凄く辛かった

二人の、あんな姿を初めて見た

実は私や葉月よりも先に洸と出会って

友達になった


友達だからー

心配だったから、あんなに感情出して

自分の気持ちを相手にぶつけるんだ


私は?


私は何も言えなかったー


再会した日も さっきも


何も言えなくて ただ黙ったままだった


話したい事、伝えたい事

たくさんあったはずなのに


でも私は、そんな資格あるんだろうか?


洸の事、しってたつもりで

本当は何にも知らない

洸の過去とか洸のこの半年間とか

何にも知らない

ただ洸と出会って仲良くなって

恋をして好きになって

自分の気持ちを知って

勝手に傷ついて洸を忘れられなくて

再会したら気持ちを伝えたいとか


全部、自分の事ばっかー


洸の気持ちも知らないくせに

洸がどんな思いでいるか考えずに


私は、この気持ち今のままじゃ

洸に伝えられない

伝えちゃダメだ そんな資格ないんだー


今は伝えない・・・



紗智は自分の気持ちを

洸に伝えることを諦めることにしたー



「紗智・・・。」

紗智の隣で歩く葉月が静かに話しかけた


「ん?・・・何?」

「ごめんね。」

「何が?どうして謝るの?」

「洸に会って気持ち伝えようとか
軽い気持ちで言ったりして・・・。」

「そんな・・・気にしないで?
葉月が謝る事じゃないよ。」

「でも、そんな雰囲気じゃなかったし。
しかも私、洸に失礼な事、言ったし・・・。」


葉月は気にしていた
紗智に対しても洸に対しての発言

自分の考えが甘いって事を
病室に居た時に感じた


「私、洸と実の会話を聞いて
洸の事、何にも知らないのに
自分の事しか考えてなかったなって。」

「紗智・・・。」

「だから自分の気持ちを伝えるの
やめようと思うの。」

「それでいいの?後悔しない?」

「うん、今は伝えるべきじゃないと思う。
いつか・・・いつか伝えられる時が来たら
伝えたいと思う。今はただ洸の力になりたい。」

「紗智・・・。」


紗智は思った


今は、ただ洸の力になりたい

洸の側に居たい


洸に拒否されるかもしれないけど

でも洸と居たい


もう二度と洸と離れたくないからー


もう二度と半年前みたいな思いは
したくないから


そして後悔したくないからー