「紗智!」

紗智を追いかけた実が
紗智に追いつき紗智の腕を掴んだ

「おい!どうしたんだよ?
急に走ったりして・・・。」

「優太君が・・・優太君が会ったらしいの。」

「会った?誰にだよ?」

実が息を切らしながら聞くと

紗智は振り返りながら言った

「洸だよ・・・!」

その目には涙を浮かべていたー

「お前、今、何て?」

「だから!洸だってば!」

「洸?・・・何で、あいつがここに居んだよ。」

「知らないよ!ただ・・・優太君が会ったって。
花火大会の時のお兄ちゃんにって。
それって洸しかいないの!」

「・・・・・。」

実は言葉を失った

紗智の腕を掴んだ手の力も緩くなり
その隙に紗智は実の手を振り払って、また走り出そうとした

実はすぐに我に返り、また紗智の腕を掴んだ

「紗智!どこ行くんだよ!」

「洸を探すの!」

「探してどうすんだよ!」

「洸に会うの!」

「会って何を話すんだよ!」

「何って・・・。」

「あいつが、お前を拒否したら?
お前を忘れてたら?お前、耐えられるのかよ?!」

「洸は、そんな事しない!」

「何で、そんな事が分かんだよ!」

「だって洸は・・・洸は私にいつも優しかったから。」

「紗智・・・。」

「洸に会いたいの。話したいの。
一瞬だけでもいい。ただ洸に・・・。」

「あいつはっ!お前を傷つけたんだぜ?
急に連絡取れなくなってから半年もたってるんだぜ?
それに、お前がやっと立ち直ったのに・・・。」

「実・・・。」

「・・・・・。」


二人は黙ってしまい重い雰囲気の中ー




「洸ー!」




二人は聞き覚えのある名前に反応して
振り向いたー


そこには・・・・・


紗智と実の後ろから車イスに乗った男の子が近づいてきたー



「・・・こ・・・洸・・・?」


紗智は見覚えのある顔を一瞬見ただけで分かった


車イスに乗った男の子がふと前を向くと
紗智と目が合ったー


「え・・・?・・・紗智・・・?」


その顔は驚いた表情をしていた


「洸・・・。」

実も洸に気付き、そう呼んだ

「実・・・?」


洸も紗智の隣に居る実にも気付いた


三人は、あまりの突然な再会に驚いているとー


「洸ー!」


洸の名前を呼び一人の女の子が
近づいてきたー

「もーこんな所に居たの?
探したんだからー!」

その女の子は洸に話しかけると

「・・・・・。」

洸は黙ったままだったー


「洸?」

女の子は洸の目線の先を見ると


紗智と実の姿だった


「洸、この人達、誰?」


女の子が洸に聞いたー



「・・・・・。」




四人は黙ったまま、その場に立ちすくんでいたー



紗智、洸、実の半年ぶりの衝撃的な再会


そして洸の隣に居る女の子

福原 愛菜(ふくはら まな)との出会い


洸と愛菜との関係はー?


友達?それとも恋人?



紗智、洸、実、葉月、そして愛菜ー


五人の新たな関係が今こうして始まったー




洸と出会った半年間

洸と連絡取れなくなった半年間


そして洸と再会して
これから始まる半年間は


今まで以上に切ないものになるとは

この時の五人は気付いていなかったんだー