clover*


しばらく歩くと病院に着いたー



その病院は紗智達が住む町の中でも
一番、大きい病院で有名であったー


その病院で「四宮 病院」

そう、その病院は
紗智の幼馴染の実の父の病院だったー

実の父は医者としての腕も
他の医者や患者からの評判も良く

院長でもある凄い人であったー


そして実も母も看護師として働いていて
婦長でもある優しくて美人で人気のある人だー


そんな両親を持つ実は医者の息子であった-


一人っ子である実は父の病院を継ぐのではと

紗智は小さい頃から紗智の母から聞かされていて
気になっていたー


紗智は、その事もずっと聞きたくても聞けなかった

きっと聞かれたくないだろうから

小さい頃から一緒に居るからか
そんな感じがしたからだー


「・・・・・。」

実は、じっと病院を見て黙ったままー

紗智は焦って、こう言った

「じゃあー私達は、これで失礼します!!」

「ありがとうございます。」

優太君の母は紗智と実にお礼を言い頭を下げた

「そんなっ!・・・では、それじゃ・・・。」

紗智と実が帰ろうとすると

「やだー!お姉ちゃんと、お兄ちゃんと
もっと居たい-!」

優太君が両手で紗智と実の制服を掴みながら言った

「優太君・・・。」

紗智が困っているとー

「優太!困らせちゃダメでしょ!」

優太君の母が怒ると

「うわーん!」

優太君が泣き出してしまった

「優太君・・・。」

「優太!」

紗智と優太君の母が困っていると

「泣くな、優太。分かったから。」

「実?」

実が優太君の頭を撫でながら優しく言った

「もう少しだけ一緒に居てやるから
もう、泣くな。男だろ?」

「ほんと?一緒に居てくれるの?」

「ああ。そのかわり、お母さんを困らせたらダメだぞ。
約束出来るか?」

「うん。分かった。」

「よし、じゃあ行くか。」

「うん!」

優太君に笑顔が戻ったー

「ほんと、すみません。」

優太君のお母さんが実に言った

「いえいえ。それに、きっと優太も不安なんだと思います。
病院に行くのには勇気がいると思うんです。
だから優太の気持ちも分かってあげて下さい。」

「はい。」

「実・・・。」

「お兄ちゃん!お姉ちゃん!ママ!行こー!」

優太君が実の手を引っ張った

「分かったから引っ張んなっ!」

実が優太君に言った

紗智と優太君の母がクスッと笑いあった

四人は病院の中へと入ったー


四人が病院に入り

優太君の母と優太君は受付に並んだ

紗智と実は近くで立っているとー


「実?」

実と紗智が振り向くと

「母さん。」

実の母だったー

「どうして、ここに?どこか悪いの?」

「違うよ。病院の場所を聞かれたから教えただけ。
それで少し付き添っただけ。」

「そう・・・。」

「・・・・・・。」

実は黙ってしまった

いつも紗智の前では明るいのに
親の前では笑顔もなく、どこか反抗した態度だったー

そんな二人の微妙な空気に耐えられなくなった紗智は

「あっ、あの・・・!こんにちは。」

実の母に話しかけた

「紗智ちゃん。こんにちは。また家に遊びに来てね。」

実の母はニコッと笑い紗智に挨拶したー

「はっ、はい。」

「じゃあー私は、これで。またね、紗智ちゃん。」

「はいっ。また。」

実の母は実をチラッと見て、その場を離れた

実は下を向いたまま何も言わなかった

紗智は、そんな実にどう話しかけていいか分からなかった


すると今度は前から大勢の医師が紗智達の方へと
近づいてくるー

その中の一人と二人は目が合ったー

「親父・・・。」

「実。」

実の父だったー

「悪いが先に行っててくれ。」

実の父が他の医師にそう言うと
二人に近づいてきたー


「お前、ここで何してる。」

「別に。」

実と実の父は会った瞬間、重い空気にー

「こんにちはっ!」

紗智は実の父に挨拶をした

「ああ。紗智ちゃん。こんにちは。」

実の父は紗智に優しく言った


「ちょうど良い。お前に話したい事がある。
ちょっと、良いか。」

「俺も親父に話したい事がある。」

「そうか。じゃあ、ついてきなさい。」

「紗智。悪いけど俺、親父と話してくるわ。」

「うん!分かった。気にしないで!」

「紗智ちゃん、また家に遊びにおいで。」

「はい!」

紗智は頭を下げたー

実と実の父は、どこかへと向かった


そんな二人の後ろ姿に紗智は少し不安そうな表情で見ていたー