clover*



しばらくして優太の病室を出て

洸の病室に戻った四人

すると洸は

「ありがとう。」

「え?」

洸の言葉に驚く三人

「・・・みんなのおかげで
優太に謝る事が出来た。
伝えたい事ちゃんと話せた。
ありがとう。」

洸がお礼を言うと

「何言ってんだよ。
俺らはただ背中を押しただけ。
お前が勇気出して優太とちゃんと
向き合って頑張ったからだ。
だから俺らは何もしてない。」

実が言った

「実・・・。」

「そうだよ!
洸、よく頑張ったと思うよ!
自分の気持ちを伝えるなんて
なかなか出来ないのに
それが出来た洸は凄いよ!」

「葉月・・・・。」

「洸。」

紗智に声をかけられ洸は紗智を見た

「良かったね。優太君と話せて。
優太君、凄く笑いかけてくれたね。」

紗智の言葉に

「うん。」

洸は嬉しそうに答えた

「俺さ・・・優太にも言ったけど
リハビリ頑張って歩けるようになる。
優太と約束したから。」

「・・・・・。」

「だからみんなは受験頑張って!
みんなの夢に近づけるよう
応援してるからさ。」

「洸・・・ありがとう。」


しばらくして病室を出た三人

「・・・・・。」

三人は黙ったまま歩く

夕方になると病院内は静けさを増していた

そのせいか

三人の足音だけが病院内に響き渡っていた

階段を下り一階に着いた途端

葉月が足を止めた

「葉月・・・?」

葉月の声をかけ紗智が振り向く

「・・・・・・。」

そして実も

「洸と優太君、強いよね。」

「どういう意味?」

「私ね・・・受験が凄い不安で
今から緊張しちゃってて。
けど洸や優太君を見て思ったの。」

「何を?」

「二人はさ、今まで辛い事とか
苦しい事とか色んな事があったと思う。
けど、それでもちゃんと
病気や怪我に向き合ってて。
苦しんでる姿も見たけど、
それでも笑顔を見せてくれて。
私は受験の事で
こんなにも不安でいっぱいなのに。
二人は強いなって。改めて思った。
私の悩みなんて二人に比べたら
ちっぽけだなって。」

「葉月・・・。」

「そんなことねぇーよ。」

「実?」

「悩みなんて人それぞれだろ?
比べる必要ないだろ?
お前が受験で不安になるのは
受験生なら普通の事。
俺だって不安だよ。」

「実・・・。」

「私も同じだよ。葉月。」

「紗智・・・。」

「葉月。人と比べるな。
お前の悩みはちっぽけじゃない。」

「うん・・・。」

葉月は実の言葉に少し涙目になった

そんな葉月を紗智が優しく抱きしめた

「ごめん紗智。弱音はいたりして。」

「ううん。いいよ。」

そんな二人を見る実

すると実が

「よし。・・・紗智、葉月。」

二人に声をかけた

「?」

二人は実を見た

「病院を出たら受験生として
受験モードに入ろうぜ。受験に向けて
ただ前だけを向くって約束しようぜ。」

「実・・・。そうだよね!
洸と約束したしね!」

「分かった。」

「じゃあ、行くぞ。」

「うん。」

三人は再び歩き出し病院を出たー・・・

すると外はすっかり暗くなっていて

風がとても冷たくなっていた

季節は秋から冬へと変わっていたー・・・

三人は空を見上げ

「受験、頑張ろうな。」

「うん。」

実と葉月は気持ちを新たに受験に向けて

ただ前だけを見ると決心した様子

そして紗智は振り向き

洸の病室の窓を見た

病室の窓には電気がついていた

「頑張ろうね。」

紗智は小さな声で言った

三人は駅へと向かい歩き出した・・・

そして、この日から三人は

洸の病室に行く事はなかった

そして病室にいた洸の心には

もう一つ、ある思いが強くなっていたー・・・