clover*


洸の病室から離れ

実は優太の病室へと向かっていた・・・

洸の気持ちを知り

どんな顔をして会ったらいいか

何から話せばいいか分からないでいた

実は優太の病室に着き

ドアを少し開けるとー・・・

そこには

「親父・・・。」

実は小さな声で言った

実の父がイスに座り優太を見ていた

その表情は今まで見た事もない表情だった

医者としての顔なのか

それとも・・・

「・・・・・。」

実は気付かれないように

そっとドアを閉めた

「実。」

「葉月。」

実に葉月が声をかけた

「お前、何でここに?」

「実のお父さんが優太君と少し
二人にしてほしいって言われて。」

「・・・・・。
優太のお母さんは?」

「旦那さんから
何度も着信があったみたいで
外で電話してくるって。」

「そう。」

「・・・洸と紗智は大丈夫?」

「ああ。・・・・・・。」

実の何とも言えない表情に葉月が

「実、少し話さない?」

「ああ。」

二人は優太の病室から離れ

近くのソファに移動して座ったー・・・

「・・・・・。」

沈黙になる二人

するとー・・・

「俺さガキの頃、大きくなったら
親父みたいに医者になって
この病院を俺が継ぐんだろうなって
思ってた。」

「うん・・・。」

「親父や母さんの働く姿を見てて
やっぱスゲーカッコイイし尊敬もするし
俺もなれたらいいなとは思ってたんだ。
だけどバスケに出会ってバスケを好きになって
バスケの選手になりたいって。」

「うん。」

「けどバスケを好きになればなるほど
俺の実力では無理だって分かって。
そんな時に洸と出会ったんだよ。」

「・・・・・。」

「洸のバスケの実力は
他の誰よりも上手くて
俺や他の生徒だけじゃなく
先生達の誰もが洸のバスケの実力を
評価してた。プロになれるんじゃないかって。」

「・・・・・。」

「俺は洸が羨ましかったし尊敬してたし
嫉妬もしてた・・・。
普通さ周りから、そんな風に思われてたら
浮かれたりするもんだろ?
けどさ洸にとったら違うんだよな。
洸はバスケのせいで人間関係に悩み
事故が原因でバスケ部を退部。
そしてバスケを諦めるように言われて。
洸にとってバスケは
今では辛いものになってしまってる気がしてさ。」

「・・・・・。」

「バスケがただ好きでたまらなかった時の
洸の気持ちを思うとスゲー悔しいんだよ。
何で洸がこんな思いしなきゃいけないのかって。
洸にはバスケを続けてほしい。
また好きでたまらなかった時の
洸に戻ってほしいって思ったんだ。

ほんとは、この事を洸に伝えたかったのに
俺あんな言い方しか出来なかった・・・。
また洸を傷付けちまったよ。
俺サイテーだわ、ほんとに。」

実の話を黙って聞いていた葉月・・・

するとー・・・

「ほんと。」

「え?」

「何でいつもこうなんだろうって思ってさ。
最初っから素直になってたら
こんな事になんなかったのに。
相手を思うばかりに結局、傷付けて。
いつもこの繰り返し。
で、結局さ実の気持ちはどうなの?」

「え?」

「・・・行きたいんでしょ?体育大。」

「・・・・・。」

「最初、医者になって
病院を継ぐんじゃないかって話が
バスケの話になって最後は洸の話。
実の話をしてたんじゃなかったの?
私は実の話を聞きたいんだよ。」

「葉月・・・。」

「もう嘘ついたり誤魔化したりしないで。
私の前では本当の事を言ってよ。
実はいつもそう。自分の気持ちを隠して
押し殺して。紗智の事だって・・・。」

「・・・紗智の事は今はいいだろ。」

「良くないよ。ほんと実は分かってないよ。
実には後悔してほしくないの!
そんな姿見たくないの!私が嫌なのっ!!」

「葉月・・・。」

「ねぇ、実。優太君からもらった手紙、見た?」

「いやっ、まだ見てねぇーけど・・・。」

「私はさっき優太君の病室で見た。これ。」

葉月は実に手紙を見せた

するとそこにはー・・・

はづきおねぇちゃんへ

ぼくの ゆうきをあげる!

きもちはちゃんとつたえないと

つたわらないんだよ

だいすきだよ

ゆうた

「勇気?気持ちを伝える?」

実が聞くと

「私、優太君に勇気もらったから
ちゃんと気持ちを伝えようと思った。
私だって後悔したくないから。」

「・・・・・。」

「私、やっぱり実が好き。
諦める事なんて出来ない。
てか、したくない。
紗智には洸が居る。
実には私が側に居るから。
実が辛い時や悲しい時は私が居る。
側に居たいの。
私の前では素直で居てほしい。
嘘つかなくていい。
誤魔化さなくていい。
実の気持ちを聞いてあげるから。
もう自分で自分を傷付けないで!」

「・・・・・。」

「バスケが好きならそれでいいじゃん!
体育大に行きたいって言えばいいじゃん!
もっと自分に素直になれ!バカ!!」

「葉月・・・。」

「・・・ごめん。
こんな時にこんな事言って。
ただ私も自分の気持ちを伝えたかったの。
優太君から貰った勇気を
無駄にしたくなかったから。」

「・・・・・。」

「・・・ごめん。
ちょっと私、紗智達の様子見てくるね。」

葉月はそう言うと

その場から離れようとした瞬間ー・・・

「葉月!!」

「!」

実は葉月の腕を掴み後ろから抱きしめたー・・・

「実?!」

「ごめん・・・。
お前に色々言わせちゃって悪かった。
でも、お前の気持ちスゲー嬉しかった。
ありがとな。いつも俺が辛い時、
側に居てくれて、感謝してる。」

「・・・・・。」

「葉月。俺さ。」

「何?」

「医大には行かない。」

「うん。」

「俺やっぱり体育大に行きたい。」

「うん。」

「ちゃんと親父に話してみる。」

「実のお父さんなら
きっと分かってくれるよ、大丈夫。」

「ああ。葉月・・・」

「ん?」

「もう少しこのままでもいい?」

「うん・・・。」

すると実は葉月をギュッと抱きしめたー・・・

そんな実に葉月はドキドキしていたが

正直、嬉しかったー・・・

実は素直に自分の気持ちを吐き出したせいか

もう迷いはない 迷わない

そんな表情だったー・・・

そんな二人の話を聞いていた人が居た・・・

「・・・・・・。」

それは実の父親だった

二人に気付かれないように

そっとその場から離れたー・・・