ガラッ・・・!
紗智が洸の病室に戻るとー・・・
「こ、洸・・・?」
紗智の目線の先には
ベットで寝ていたはずの洸が起きていた
洸は紗智が戻って来たのに反応がない
すると紗智の緊張しながらも洸に話しかけた
「洸、起きてたんだ・・・。」
その後、何て言ったらいいか分からない
何から話したらいいか、
どんな言葉を言えばいいのだろう
紗智が悩んでいると
「紗智。」
洸が紗智に声をかけた
「な、何・・・?」
紗智は思わずドキッとした
「・・・こっち来て。」
洸が紗智の顔を見ないで言った
「う、うん・・・。」
紗智は緊張しながら洸に近づいた
すると洸の目線の先にあるものが見えた
「それ・・・優太君からの手紙・・・?」
洸の手には優太からの手紙があった
「うん。」
洸が小さな声で答えた
「そう・・・。
私もね優太君から手紙貰ったんだよ。
凄く嬉しくて、でも・・・。」
紗智は言葉を詰まらせたー・・・
でも「辛かった」
そんな言葉を今の洸に伝えたら
私は最低な気がした
ただ洸を傷付けるだけな気がしたから
「・・・・・。」
紗智は黙ってしまった
すると洸はー・・・
「優太は?」
紗智に聞く
「・・・呼吸が落ち着いて
今は病室で寝ている。」
「そっか。」
「うん・・・。」
「紗智、優太の病気、聞いてる?」
「・・・うん。聞いた。
実のお父さんから。
・・・心臓病だって・・・。」
「そう・・・。」
「まさか優太君が
そんな重い病気だなんて・・・。
まだ小学生なのに・・・。」
「だよな。
信じられないよな。
あんなに元気なのに。
あの笑顔の裏では
辛くて苦しくて寂しい思いとか
たくさんしたんだろうな。」
「洸・・・?」
「俺さ、そんな優太に
ひどいことした・・・。」
「ひどい事・・・?」
「優太がせっかく病室に来てくれたのに
俺、イライラしてて優太は悪くないのに
優太に八つ当たりした。
それで優太は倒れた・・・。
俺のせいだ。
優太が倒れたのは俺のせいなんだよ。」
「優太君が倒れたのは
洸のせいなんかじゃないよ?
洸の目の前で優太君が倒れて
自分を責める気持ち分かるよ?
私が洸の同じ立場だったら
私も自分を責めると思う。
でも本当に洸のせいじゃない。
だから自分を責めないで・・・。」
「・・・・・。」
「洸・・・。」
「・・・紗智、これ見て。」
洸は紗智にあるものを渡した
「これ・・・
洸宛ての優太君からの手紙・・・。」
「うん。」
「見ていいの?」
「うん。」
紗智は洸から手紙を受け取ると
手紙を読んだー・・・
手紙にはこう書かれていた
こうおにいちゃんへ
こうおにいちゃんは
ぼくのヒーローだよ
ぼくは こうおにいちゃんみたいな
人になりたいな
だいすきだよ
ゆうた
「優太君・・・。」
「俺がヒーローだって。
大袈裟だよな。」
洸が笑いながら言った
「そんな事ない。
優太君にとって洸はヒーローなんだよ。
優太君は洸が大好きなんだよ。」
「俺はヒーローなんかじゃないっ!」
「洸・・・。」
「俺は優太が思ってるような人間じゃない。
俺はヒーローになれるような
強い人間なんじゃないんだよ。
俺は今まで事故や怪我の事で
色んな人に心配や迷惑かけてきた・・・。
それに傷付けてばかり。
怪我を言い訳にして逃げてばっかだった。
紗智達から逃げて夢から逃げて・・・。
俺はほんと弱くて卑怯な人間なんだよ!
優太は俺みたいな人間になっちゃいけないんだ!」
「そんな事ないっ!!」
紗智はそう言うと洸に抱き付いたー・・・
「?!」
洸は紗智の行動に動揺した
「違う・・・。
洸は弱くなんかない。
誰だって強くなんかない。
辛い事から逃げたくなるのは仕方ないよ。
だって私もそうだったから。
だから洸は卑怯なんかじゃないよ?
だから、そんな風に自分を悪く言うのはやめて!」
「紗智・・・。」
「洸、優太君が花火大会で
迷子になってる時に助けたじゃない?
それってヒーローって言うんじゃないの?
それに優太君に対して優しく接してた。
まるで本当に兄弟みたいに。
優太君はその事が嬉しかったんだよ、きっと。」
「・・・・・。」
「優太君のお母さんが言ってた。
優太と仲良くしてくれて遊んでくれて
ありがとうって。優太も喜んでたって。
優太にとって、あなた達は本当の
お兄ちゃんお姉ちゃんって思ってるって。
花火大会で出会った時に
また会いたいって言ってたって。
入退院や通院を繰り返してたから
優太、笑わなくなったけど
あなた達と出会って笑顔が戻ったって。
あなた達のおかげって言ってた。」
「・・・・・。」
「優太君、昨日の私達を見て
悲しかったんだって。
それで、お母さんに聞いたんだって。
僕に何か出来る事ないかって。
私達に元気になってもらいたいって。」
紗智はそう言うと
「優太君なりに考えたんだよ。
自分が出来る事を。」
優太からの手紙を洸に差し出した
「これ・・・沙智宛ての・・・?」
「うん。見ていいよ。」
洸は紗智から手紙を受け取る
そして手紙を見た
「-・・・!!」
「書いてあるでしょ?
洸お兄ちゃんと仲良くね。
二人の笑顔が見たいなって。」
「・・・・・。」
「だから私は優太君の願い通り
洸と仲良しで居たいの。
優太君の為にも笑顔で居たんんだよ。
だから洸にも笑顔で居てほしい。
その為には一人で何もかも抱え込まないで
何でも話してほしい。
それに私は洸と別れたくない。
違う・・・別れないよ、絶対に。
もう二度と後悔したくないから。
私は洸が好きだから。」
紗智は精一杯、自分の気持ちを
洸に伝えたー・・・
紗智の言葉に洸は・・・
「・・・紗智や優太にはかなわないな。
今、俺スゲーカッコ悪いじゃん。」
「そんな事ないよ。
洸はカッコイイよ。
だって優太君のヒーローだもん。」
「バーカ。」
「バカでいいもん。」
「・・・俺さ。」
「うん。」
「本当は実に体育大に行ってほしい。」
「実に?」
「うん。確かに親父さんの事もあると思うし
実が本気で医大に行きたいなら応援するし
もうこれ以上、言うつもりはない。
でも、やっぱり親友としては
体育大に行ってほしいって思うんだよね。
だって、あいつがどれだけバスケが好きで
体育大に憧れてたのも知ってるからさ。
俺もそうだったから。」
「洸・・・。」
「なのに俺あんな言い方しか出来なかった。
実を傷付けるような言い方しか。
ほんとは実の背中を押すつもりが
ただ傷付けて余計に悩ませる事になった。
俺、本当は実に嫉妬してたんだ、ずっと。
実が羨ましかったんだ。
実は何も悪くないのに俺は自分の感情を
実にぶつける事しか出来なかった・・・。
俺が一番、実の気持ちを
分かってたはずなのにー・・・。」
洸の目から涙が溢れたー・・・
「洸・・・。」
そんな洸に紗智は
抱きしめる事しか出来なかったー・・・
そして、そんな二人の会話を
廊下で聞いていた人物が居た・・・
「・・・・・・。」
実だった-・・・
実は洸の気持ちを改めて知り
複雑な思いでいたー・・・
