「親父っ・・・!」
病院に着いた三人は
洸の病室を通り過ぎ優太の病室に急ぐと
実の父が部屋の前に立っていた
「こら。廊下を走らない。」
実の父は冷静に注意した
「仕方ねぇーだろ?!あんな電話来たら
走るに決まってるだろ?!
で?優太は?!大丈夫なのかよ?!」
実は息を切らしながら聞いた
「・・・今は呼吸も落ち着いて眠ってる。
中で優太君のお母さんが付き添ってる。
さっきまで危ない状態だったのが
信じられないくらいだ。」
「良かったー・・・。」
実が安心した表情で言った
紗智と葉月もほっとした表情に・・・
すると実の父が
「良くないっ!!」
「?!」
今まで聞いた事ないくらいの声で言った
「・・・優太君の病気知ってるのか?」
「優太の病気・・・?
おいっ!親父!
優太の病気って何だよ?!」
「・・・心臓病だよ。」
「!!」
「他の患者の症状を言うつもりはなかったが
優太君の症状はかなり重い症状だ。
何も知らないで良かったと言ってる
君らを見ていたら黙っていられない・・・。
人の命を何だと思っているんだ!!」
「親父・・・。」
「優太君はまだ小学生で体も小さいんだ。
少しの発作で倒れたりしたら危険なんだ!
それほど大変な病気なんだよ!
そんな事も分からない子供が良かったと
軽い気持ちで言うんじゃない!!」
「・・・・・!!」
実の父の怒鳴る声が廊下に響いていた
実の父の言葉に言葉を失う三人・・・
するとー・・・
「先生。」
「田中さん・・・。」
優太の病室から優太の母が出てきた
「すみません。大声を出してしまい。
それに優太君の病気の事まで
話してしまいー・・・。」
実の父は優太の母に頭を下げた
「先生、頭を上げて下さい。
大丈夫ですから。
先生には感謝してるんですから。」
優太の母は実達を見た
すると実達は優太の母の前に立ち
「すみませんでした・・・!」
頭を下げて謝った・・・
「謝らなくていいのよ。
優太の病気、知らなかったんでしょ?
それに優太を心配してくれて
本当にありがとう。
私、あなた達には感謝してるの。」
「え?感謝・・・?」
「ええ。優太と仲良くしてくれて
遊んでくれて優太も喜んでいた。
優太にとって、あなた達は
本当のお兄ちゃんとお姉ちゃんって
思ってるのかもしれない。」
「・・・・・。」
「優太は一人っ子で生まれつき体が弱くて
優太が二歳になって心臓の病気だと分かったの。
それから優太の担当医は四宮先生だった。」
「・・・・・。」
「親父が優太の担当医・・・?」
「それから入退院を繰り返して
通院もしてたから
優太にはいつも辛い思いさせた。
小学生になって友達も出来て
優太も凄く嬉しそうだった。」
「でも通院が多くなると
友達と遊ぶ時間が少なくなって
優太はあまり笑わなくなったの。
私もどうしたらいいか分からなかった。
優太を元気づけようと思って
花火大会に連れてったの。」
「花火大会って、もしかして・・・。」
紗智が言うと
「ええ。優太が迷子になったあの日。
あなた達と出会ったあの日よ。」
「・・・・・。」
「あなた達と出会って優太、
私と主人に言ったの。
また会いたいなって。
優太には兄弟が居ないから
きっとお兄さんお姉さんに
憧れてたんだと思うの。」
「・・・・・。」
「優太が入院してから
洸君と同じ病室になったり
紗智ちゃんや実君、葉月ちゃんと
話したり遊ぶようになって
優太に笑顔が戻ったの。
優太に笑顔が戻ったのは・・・
あなた達のおかげなのよ。」
「・・・けど昨日、優太がね
私に言ったの。僕には大好きな人がいて
それはパパやママ、友達や先生。
そして・・・あなた達だって。」
「!!」
「あなた達が昨日、泣いたり
怒ったりしてる姿を見て
優太は悲しかったみたい。」
「え?優太君、見てたんですか?
私達が話してるとこ・・・。」
葉月が聞くと
「そうみたい。ごめんなさいね。」
「いえ・・・。」
「・・・優太が言ったの。
優しくしてくれて色んな事を
教えてくれたんだって。
僕に何か出来る事ないかって。
あなた達に元気になってもらいたいって。」
「優太君・・・。」
紗智は優太の気持ちを思うと
胸が苦しくなったー・・・
すると優太の母が三人に近づき
「これ。」
ある物を三人の目の前に出した
「これって・・・手紙?」
三色の折り紙の表には
「さちおねぇちゃん」
「みのるおにいちゃん」
「はづきおねぇちゃん」
三人の名前が書いてあった・・・
三人は優太の母から受け取る
「・・・私が洸君の病室に着いた時
優太君の近くに落ちていたんだ。
洸君には渡した。
優太君は手紙を渡しに
洸君の病室に行ったんだ。」
実の父が言った
「優太君・・・。」
「・・・洸君の所へ行ってやりなさい。」
「え?」
「私が病室に行くと
洸君がひどく興奮状態でパニックになってた。
優太がこうなったのは俺のせいだって。」
「洸が・・・?」
「私が何を聞いても俺のせいだと
言うばかりで詳しくは聞けなかった。
何があったか分からないが
洸君のせいではない。
発作や呼吸困難は急に出るものだから。
でも目の前で倒れたらショックだろう。
だから洸君の側に居てあげてくれ。」
「はい・・・。」
紗智が言った
「優太の事は洸君のせいじゃないって
伝えて。洸君に辛い思いさせて
ごめんなさいって・・・。」
優太の母が言う
「はい・・・。」
動揺する紗智に
「紗智。しっかりしろよ。」
「実・・・。」
「洸の側に居てやれ。」
「え?実は行かないの?」
「ああ。三人で行くより
紗智だけ行った方が
洸も落ち着くだろ?
俺はここに居る。優太も心配だから。」
「実・・・。」
「私も。優太君の側に居てあげたいの。
だから紗智は洸の所に行って?」
「葉月・・・。」
「洸の事、頼む。紗智。」
「うん、分かった・・・。
行ってくるね。」
紗智は優太からの手紙をギュッと
握りしめ洸の病室へと向かった・・・
