その頃、洸はー・・・

洸は一人、病室のベットの中で
思い出していた

「・・・・・。」

別れようと話した時の紗智の表情をー・・・

「あーくそっ・・・。」


洸は紗智の表情が頭から離れない


するとー・・・


ガラッ!!



病室のドアが開いた

「?!」

洸が驚き飛び起きると

そこに立っていたのはー・・・


「愛菜・・・?!」


洸の元カノである愛菜の姿があった


洸は一瞬、紗智だと思った


「お前、何でここに?」

洸が聞くと

「来ちゃいけない?
私は洸のお見舞いにも
来ちゃいけないって事?!」

愛菜が洸に近づきながら言った

「それは・・・。」

洸はどう返事したらいいか分からず

すると愛菜が

「洸、彼女と、どうなってるのよ?!」

「え、彼女って・・・?」

「紗智って子だよっ!!
付き合ってんじゃないの?!」

「・・・・・。」


「・・・さっき私、見たの。
あの子が他の男と抱き合ってんの。」

「紗智が?!他の男と・・・?」

洸は思った

他の男とは実の事だとー・・・

洸は少しショックだったが

紗智に一方的に別れようと言った自分が

実の事を悪く言えなかった

「・・・・・。」

黙ってしまう洸に愛菜は


「何なの?!あの子!
私には洸が好きだとか言ってたくせに!!
他の男と抱き合うなんて最低!!
あんな子、洸には合わないっ!!」


紗智に対する苛立ちが爆発した


そんな愛菜に洸は

「紗智を悪く言うな。
俺のせいなんだよ。」

「洸ー・・・。」

洸の紗智をかばう言葉と

紗智を想う真剣な顔を見た愛菜は

胸の奥がズキッとしたー・・・


「来てもらって悪いけど
今、誰かと話す気分じゃないんだ。
だから帰ってくれないか?」

「・・・・・。」


「愛菜・・・?」

洸は返事をしない愛菜が気になり

振り向いた瞬間ー・・・

「?!」

愛菜は洸を抱きしめたー


「おいっ!愛菜?!」

洸が愛菜を自分から離そうとすると


「お願いっ!!今だけ・・・。
少しだけでいいから
このままで居させて・・・。」

「愛菜っ!!」

「お願いっ・・・!!」

「・・・・・。」

洸は愛菜を自分から離そうとしたが

出来なかったー・・・



その頃、紗智はー・・・


中庭で優太を抱きしめていた

そして優太から離れる紗智


「・・・ごめん。優太君。
苦しくなかった?」

「ううん。大丈夫だよ。
紗智お姉ちゃんは?」

「うん、大丈夫。
優太君が居てくれたから
元気出た。ありがとう・・・。」

「うん・・・。」


すると、そこにー・・・


「紗智っ!!」


紗智を探していた葉月の姿が・・・


「葉月ー・・・。」


葉月は紗智の所へ駆けつけた


「探したんだよ?!
良かったー近くに居て・・・。」

葉月は息を切らしながら言った

「ごめん・・・。」

紗智は葉月に謝った

「別にいいけどさ・・・。
あっ、優太君?どうしてここに?」

葉月は優太の存在に気付いて
優太に声をかけた

「葉月お姉ちゃん!こんにちは。
紗智お姉ちゃんと話してたの。
・・・紗智お姉ちゃんが元気なくて。」

優太が紗智を見る

葉月は優太の言葉に紗智を見た

「紗智・・・大丈夫・・・?」


葉月の言葉に紗智はー・・・

「葉月-・・・!!」


紗智は葉月に抱きついた


紗智の目からは涙が溢れ


そんな紗智を葉月が優しく抱きしめた





そして院長室へと向かっていた実は


「あれ?あの先生・・・
洸のリハビリ担当してる先生だよな?」


実は偶然、
洸のリハビリの担当をしている先生を
廊下で見つけたー・・・

「あの人なら何か知ってるかも。」



実は洸に何かあったか聞こうと思い

声をかけようとした瞬間ー・・・


「先生ー!!」

「!」

他の先生が声をかけてきたので

実は声をかけるのをやめた・・・


「洸君のリハビリ順調ですか?」

「ああ。やっぱり若いし体力あるから
頑張ってるよ。」


洸の話をしている先生の会話を聞いて
少し安心する実

「リハビリ順調か。良かった。」





だが次の瞬間ー・・・

二人の言葉に実は言葉を失う・・・


「でも洸君、辛いだろうな。」

「ああ。歩けるようになっても
運動は出来ないからなー。」

「激しい運動して
また怪我でもしたら、もう二度と
歩けなくなるかもしれないって
言われたらショックだよな。」

「まだ高校生なのにな。
好きなバスケ諦めろって言われたら
本人は辛いだろ・・・。」

「でも洸君、若いんだし
これからたくさん、やりたい事
見つかるだろうし頑張ってもらわないと。」

「だな。自分の将来、
諦めてほしくないから
俺らで出来る事はサポートしてやらないとな。」


先生二人の洸の会話はここで終わった・・・






二人の会話を聞いた実は


「今の話どーいう事だよ?!」

実は何が何だか理解が出来なかった


洸がバスケを諦めないといけない?


実は信じられない気持ちでいっぱいだった


そして、この事が本当なら


洸が紗智に別れを伝えた理由だと思った

「・・・・・くそっ!!」

実は急いで院長室へと向かったー・・・



洸と別れたくない紗智



紗智に別れを告げた洸



洸の現実を知ってしまった実



紗智と洸を別れさせたくない葉月



突然、紗智や洸の目の前に現れた愛菜



五人の関係はどうなってしまうのかー・・・



そして、



紗智と洸は本当にこのまま


別れてしまうのだろうかー?


実と葉月と愛菜の想いは・・・?