その頃、紗智はー・・・中庭に居た
まだ外は昼間なのに
何だか暗い夜みたいな気がした・・・
まるで紗智の心を表すように
「・・・・・。」
紗智は愛菜に叩かれた頬を触った
軽く触っただけで腫れてるのが分かる
「・・・叩かれて当然だよね。」
愛菜の洸に対する気持ちが
痛いほど伝わった気がした
愛菜は今でも洸が好きなんだと
私だって洸が好き・・・
でもー・・・
紗智はどうしたらいいか
分からなかった
紗智の目からは涙が溢れる
泣いてばかりな自分が嫌になる
でもどうしても止める事が出来ない
するとー・・・
「紗智おねぇちゃん・・・?」
「?!」
紗智がハッとした顔をして
横を向くとー・・・
「優太君?!」
紗智の前に居たのは
花火大会で出会って
洸と同じ病室に居た男の子の姿があった
「何でここに?!」
紗智は急いで涙を拭いた
「お散歩だよ?おねぇちゃんは?」
「私?私は-・・・。
あっ!優太君、久しぶりだよね!
元気だった?」
紗智は話を逸らして聞いた
「うんっ!元気だよ!」
「そっか。洸と同じ病室じゃなくなって
なかなか会いに行けなくてごめんね?」
男の子は九月から
個室へと移動していた・・・
紗智達は男の子のお見舞いに
行こうと話していたが
文化祭やテストがあって行けなかった
洸の事もあったからー・・・
「大丈夫だよ!
今日は洸お兄ちゃんのお見舞い?」
「え?う、うん・・・そうだよ!」
「実お兄ちゃんと
葉月おねぇちゃんも?」
「うん!そうだよ!
今ね二人が来るの待ってるんだ。」
「そっかー。
僕みんなに会いたかったんだ!
洸お兄ちゃんとも会えてなくて・・・。」
「洸にも?」
「うん。洸お兄ちゃん最近ずっと
元気がなくて。
僕どうしていいか分からなくて。
だから会いに行けなかったんだ。」
「そうだったんだ・・・。」
こんな小さな男の子でも
洸の様子が変な事を気付いていたのに
私は少しも気付けなかった
そんな自分が本当に嫌になる
「・・・・・。」
「紗智おねぇちゃん?」
「ごめん、ごめん!何?!」
「どうしたの?ほっぺた。
凄く真っ赤だよ?」
「え?これ?これはねー・・・」
紗智がどう言ったらいいか
分からなかった
すると男の子が・・・
「痛くない?僕が痛くなくなる
おまじないしてあげるね!」
「おまじない?」
「うん!」
男の子はそう言うと
紗智の頬に手を当てて・・・
「痛いの痛いの飛んでいけー!」
笑顔でそう言った
「・・・・・。」
「どう?痛くなくなった?」
「うん。痛くないよ。
ありがとう・・・。」
紗智はそう言うと男の子を抱きしめた
「紗智おねぇちゃん?
どうしたの?」
男の子が驚くと
「ごめんね?優太君。
少しこのままで良いかな?」
「うん。いいよー!」
「ありがとう・・・。」
紗智は思った
痛くなくなったのは頬だけじゃなくて
心も少しだけ痛くなくなった気がした
男の子のおまじないで
男の子の純粋な気持ちと
優しい笑顔のおかげで
紗智は思ったー・・・
洸と別れたくない
洸と別れない
洸が好きだからー・・・
何があっても
私は洸以外の人を好きにならない
私には洸だけなんだと
洸と話したい
ちゃんと洸と向き合わなきゃー・・・
