「殴れよ。俺みたいに。」
洸は実を挑発するように言った
すると実はー・・・
「ふざけんなっ!」
ガッ!!
そう言うと洸の顔を殴ったー・・・
「・・・・・。」
洸の唇から血が滲んでいた
「はぁ、はぁ。」
実は洸の服から手を離し
洸から離れたー・・・
「お前が挑発するから悪いんだよ。」
「こんなの痛くねーよ。
それに俺もお前、殴ったし。
お互い様だろ?」
「だよな。
先に手-・・・出したのお前だし。」
「お前が紗智と葉月を
傷付けるような事言うからだろ。」
「・・・・・。」
「お前さ勘違いしてねぇーか?」
「勘違い?」
「傷ついてんのも苦しんでんのも
お前だけじゃねぇーんだよ。
紗智や葉月だって一緒なんだよっ!」
「んなの分かってるよ・・・。」
「分かってねぇーよ!」
「・・・・・。」
「お前を振った時の紗智の気持ちや
幼馴染に戻りたいって言った紗智の気持ち
お前に分かるだろ?」
「・・・・・。」
「自分の気持ちを誰にも言えず
隠して来た葉月の気持ちや
お前が紗智を好きだと知ってて
告白した気持ちお前に分かるだろ?」
「・・・・・。」
「お前は紗智に振られたんだろ?
お前だって葉月を振っただろ?
だったら振る方も振られる方の
気持ちをお前が一番、分かってんだろ?!」
「・・・・・。」
「そんなお前が何で
ちゃんと分かってやんねぇーんだよ・・・。
紗智が幼馴染に戻りたいって言った時も
お前が俺に幼馴染に戻りたいって
言った気持ちは同じじゃねぇーのかよ?」
「・・・・・。」
「葉月が自分の気持ちを言えなかったのも
お前が今まで紗智に言えなかったのと
同じ気持ちだろ?!」
「・・・・・。」
「紗智と葉月の気持ちを一番
理解出来んのは実、お前じゃん。」
「お前の気持ちを理解してくれんのも
紗智や葉月だろ。
それに俺だって・・・。」
「お前に何が分かんだよ・・・。」
「え?」
「お前に俺らの何が分かんだよっ!
俺は紗智と十年以上、一緒に居た。
葉月と出会って三人で
過ごすようになって五年半・・・。
たった一年ぐらいしか一緒に
過ごしていないお前に俺らの
何が分かんだよっ!」
「分かんねぇーよ・・・。
今までお前らが
過ごして来た日々の事なんか。」
「だったら・・・!」
「逆に聞くけど・・・
お前に俺の気持ち分かんの?」
「え?」
「俺は、お前ら三人の関係が
羨ましいなぁって思ってた。
お前に嫉妬したり羨ましいって思ってた。
そんな俺の気持ちがお前に分かる?」
「俺に嫉妬?羨ましい?
幼馴染のままでしか居られない俺のどこが
羨ましいって思うんだよっ!」
「いつでも紗智の側に
居られるからだよっ?!」
「・・・!」
「俺は紗智とは違う高校だから
紗智がどんな高校生活を
過ごしてるか分からない。
俺は今までずっと
紗智と同じ高校だったらなって思ってた。
まぁ男子校だから、そんな事言っても
仕方ないけど・・・そう思ってたんだ。」
「・・・・・。」
「それに今の俺は毎日ここに居て
紗智が辛い時や泣いてる時に側に居られない。
自分から紗智の所に行きたいのに行けない。
そんな自分が嫌で仕方ない俺の気持ちが
実、お前に分かんのかよっ?」
「・・・・・。」
洸の言葉に実は黙ってしまったー・・・
でも実が言った
「ただ側に居るだけじゃ
ダメなんだよ・・・。」
「実?」
「俺が紗智の側に居ても
それは幼馴染として居るだけで
俺が何を言っても届かねぇーんだよ。」
「届かない?」
「俺が紗智を励ましたり慰めても
紗智には通じねぇーって事。」
「そんな事ねぇーよ!
紗智はお前を頼りにしてるし・・・。」
「だからそれは幼馴染だからだよっ!」
「・・・・・。」
「けど、お前の言葉なら届くんだよ。」
「俺の言葉・・・?」
「紗智がお前を好きだからだ。」
「!」
「だから、お前が紗智に届けてやれよ。
お前の声なら紗智に届くんだから。
俺に嫉妬したり羨ましがってる場合か?
こんな所でひたすら待ってねぇーで
紗智を支えてやれよ!側に居てやれよっ!」
「実・・・・・。」
「今、紗智を支えてやれるのは・・・
洸、お前しか居ねぇーんだよっ!」
「・・・・・。」
洸は実の言葉に動揺していた
すると実は
自分のカバンからノートを出しては
ビリッと一枚破りペンで何かを書いた
そして書き終えた紙切れを
「これ。」
洸に渡した
「何?」
洸が紙に目を通すと・・・
「携帯の番号・・・?」
「紗智の携帯の番号。」
「え?」
「ここは携帯使用禁止だから
お前、今まで紗智と
連絡出来なかったんだよな?
公衆電話からなら連絡出来んだろ?
けど、何で今までしなかったんだよ。」
「したくても出来なかった。
紗智の声聞いたら会いたくなるから。」
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「いいから紗智に連絡しろよ。
紗智の話、聞いてやれよ。
側に行けなくても声ぐらい聞かせてやれよ。
今お前に出来る事、紗智にしてやれよ。」
「ああ、分かった・・・ありがとな。」
「礼なんていらねぇーよ。
お前を殴ったし。悪かったな?殴って。」
「俺の方こそ殴って、ごめん。」
「・・・じゃあー帰るわ。」
実はそう言うとカバンを持ち病室を出ようとした
すると洸は
「さっき言ってた事、本気じゃねぇーよな?」
「何が?」
「紗智と葉月の事。
お前、本当は二人が心配なんだろ?」
「・・・・・。」
「紗智と葉月の関係が。
今二人はスゲー辛いと思うんだ。
実、頼む。二人を支えてくれ。」
「・・・言われなくても分かってるよ。
元はと言えば俺が二人を傷付けたんだし。
お前も紗智を支えてやれ。」
「ああ。・・・なぁ。実?」
「何?」
「俺ら友達だよな?親友だよな?」
「・・・・・!」
「俺はそう思ってる。」
実は洸の言葉に返事せず
ドアを開けてー・・・
「ばーか。」
と言って病室を出て行った
「・・・・・。」
洸は実の言葉にフッと笑った
そして病室を出た実も笑っていたー・・・
