中庭で実と葉月が
そんな会話をしていたなんて
知らない紗智はまだ教室に居た・・・
しばらく泣き崩れていた紗智は
涙も出なくなり放心状態だった
そして紗智はゆっくり立ち上がり
カバンを手に取り教室を出た
重い足取りで校舎を出た
登校日の今日
紗智は実と葉月の想いを知った
幼馴染と親友の想いを知った
そんな二人を傷付けてしまった
そして実には幼馴染には戻れない
葉月には距離を置きたいと言われた
紗智は思った
幼馴染と親友を失ってしまうと・・・
もう三人で居られなくなる
もう二度と三人で居る事もなくなってしまう
二人がどんな大事で大切な存在かと
この日、痛感してしまったー・・・
けど二人にとって今の自分の存在は
「いらない」
そう言われた気がした
実と葉月が言わなくても
今の紗智はそんな風に思ってしまった
どうしてこうなってしまったんだろう
ただ誰かが誰かを
好きになってしまっただけなのに
何でこんなにも辛いんだろう
誰も悪くないのに・・・
紗智はそんな事を考えながら歩いていた
夏なのに何だか寒く感じた外の空気
そんな中 一人歩くのは辛かった
隣にはいつも実と葉月が居た
でも今は居ない
紗智はまた二人の事を思い出しては
胸が苦しかった
紗智はふと洸の顔が頭に浮かんだ・・・
洸に会いたい
けど今、洸に会ったらダメだ
きっと私は洸に甘えてしまう・・・
実や葉月が苦しんでるのに
私だけ誰かに頼るなんて
甘えるなんて出来ない・・・
紗智はそんな思いから
洸に会いに行かなかった
本当は今すぐにも洸に会いたかった
洸の顔を見て
洸の声を聞いて
洸のぬくもりを感じたかった
励ましとか慰めとかいらない
ただ洸に側に居てほしかった・・・
そんな気持ちを押し殺して
紗智は洸が居る病院には行かなかった
実や葉月を傷付けた自分には
そんな権利はないと思ったからだ
紗智は一人、家へと向かったー・・・
けど、その時ー・・・
洸が居る病室には誰かが居た
それはー・・・
「実。」
病室に居た洸は驚いた表情で言った
洸の目線の先には・・・
「・・・・・。」
実が気まずそうな表情で立っていた
「どうしたんだよ。急に?」
洸が言うと
「・・・お前と話したくて。」
実が言うと
「いいから、こっち来いよ。」
洸が言った
実は頷き洸の側へと移動した
「優太は?」
実が洸の隣のベットに居るはずの
優太の姿がない事に気付いた
「優太は外泊届出して
自分の家に帰ってる。
明日には帰ってくるって。」
「へぇー・・・。」
「で?話って何?」
洸が聞いた
「・・・・・。」
黙る実
洸は実の話が何だか予想していた
それは紗智の事だと
でも実から出た言葉はー・・・
「俺さ医者になるわ。」
「え・・・?」
洸が予想してた事とは違う話だった
実がバスケの夢を諦めた事を知らない洸は
実の言葉に驚いたー・・・
「お前、何言ってんだよ?
優勝したんだろ?なのにバスケ続かないのか?」
「紗智に聞いたんだな・・・。」
「ああ。優勝したって。
だったらバスケ続けろよ。バスケやめんのか?」
「そっちの話は聞いてねぇーのか・・・。」
「紗智は人の事を簡単に話さねーよ。」
「お前は紗智の事、分かってんだな。」
「は?お前だって、それぐらい分かんだろ?
何だよ急に。」
「とにかく俺は医大を受験して
医者になって親父の後を継ぐ。
もう決めたんだよ。」
「お前ほんとにそれでいいのか?
後悔しないのかよ・・・?」
「ああ。しない。」
「そっか・・・。
お前が決めた事だから仕方ねぇーよな。
俺が止める権利ないし。」
「ああ。そーいう事だから。
話はこれだけだから。
急に来て悪かったな。じゃあな。」
実はそう言いながら
病室のドアへと向かおうとした
すると洸が
「待てよ、実。」
実を呼び止めたー・・・
「何?」
実がため息を一つして振り返り聞いた
「他に話あるんじゃねぇーの?」
洸が実に聞いた
「・・・・・。」
また黙る実
「言えよ。」
洸が言った
「分かったよ・・・。」
実は洸の側へと戻った
