それから数日後、日曜日ー。
「紗智!葉月!」
紗智と葉月は実の家の前で
駅に洸を迎えに行った実を待っていたー
実の声に振り向く紗智と葉月
「あっ…。」
そこには実と、洸の姿だったー
「久しぶり。」
洸がニコッと笑って紗智に話しかけた
「久しぶり。」
紗智は洸との久しぶりの再会に
ドキドキしながら言った
「じゃあー俺の家にあがれよ!」
実が、そう言うと四人は実の家へと入る
「あー、マジで分かんねぇー。」
実が頭を両手でくしゃくしゃにして
床に寝転んだ
「私もーもう無理。」
葉月も、そう言って寝転んだ
そんな二人とは違い紗智と洸は勉強に集中していた
「紗智と洸は勉強、嫌じゃないの?」
葉月が呆れたように言うと続けて実が
「紗智も洸も頭良いよなー。」
羨ましそうに呟いた
「そうなんだ。紗智、真面目そうだもんね。」
洸が言うと紗智は
「そんな事ないよ!数学、苦手だし…。」
「数学なら俺、得意と言うか好きだよ!
分からない所とかあったら教えるよ?」
洸は、そう言いながら紗智の数学の教科書を
覗き見るように自然と体を紗智に近づけた
「!」
紗智は洸が近づいてきた事に驚きと緊張と
洸の「好きだよ」の言葉が何故か頭から離れない
そんな自分が恥ずかしくなったのか
顔を真っ赤にしながらも勇気を出して
「ここ、解き方が分からなくて…。」
そう言いながら紗智は数学の教科書の問題を
指で指して洸に聞いた
「了解!」
洸はニコッと笑って解き方を丁寧に教えた
紗智は勇気出して聞いて良かったと思った
そして、しばらくすると
「紗智。ここ教えてくれない?」
洸が国語の教科書を紗智に見せながら
分からない所を指で指して聞いてきた
「えっ?」
「紗智、国語、得意なんだよね?実が言ってた。」
「得意と言うか…好きなんだよね。」
紗智が照れくさそうに言った
「じゃあー俺が数学、好きなのと一緒だね。
さっき数学、教えたから今度は紗智が教えて!」
洸は二ッと笑いながら言った
「うん。上手く教えられるか分からないけど…。」
「ありがとう!」
紗智はドキドキしながら洸に教えた
紗智の説明を真剣に聞く洸
その姿に嬉しいような恥ずかしいような
何とも言えない気持ちでいっぱいな紗智
「…で、こうなるの。」
「すげー!紗智の教え方、丁寧で分かりやすい!」
洸が、いきなり紗智を褒めた
「そんな事ないよ!
洸だって教え方、分かりやすかったよ?」
「俺のは大雑把だけど紗智は丁寧だし!
学校の先生とかなれそうじゃない?」
「えっ?先生?先生なんて無理だよー!」
紗智が慌てて否定すると
「そうかなぁ?勉強、好きなんでしょ?
俺だったら紗智が先生だったら勉強、教わりたいな。」
「えっ……。」
紗智が洸の言葉に戸惑っていると
洸は紗智の様子にクスッと笑った
そんな二人の様子に
「あのー、私達の存在、忘れてない?」
葉月がムスッとした顔で二人に話しかけてきた
「えっ!ごめん!忘れてないよ!」
紗智が慌てて葉月に謝ると
「忘れてないけど邪魔しないでくれるー?
紗智と話してるのに。」
洸が葉月に言った
「邪魔って何よー!紗智は私のなんだからね!」
葉月がキーってなりながら洸に言った
「はい、はい。葉月は面白いね!」
洸は、そう言いながら笑った
「…………。」
紗智は、そんな洸の笑顔にドキドキしていた
そんな三人の姿に実が
「…俺、ちょっと飲み物、取りに行くわ。
葉月、お前も手伝え。」
そう言うと葉月の腕を引っ張る
「えっ…私も?ちょっと…実!」
葉月は抵抗しながらも二人は部屋を出た
「……………。」
実の部屋では紗智と洸が二人っきりになったー
