その頃、実、葉月、優太はー・・・
ベンチに座って休憩していた
「優太君、疲れちゃったみたいだね。」
葉月の太ももに頭を乗せて
疲れて寝てしまった男の子
そんな男の子の顔を見て笑う葉月
そんな葉月に実は・・・
「お前、向いてるんじゃね?」
「何が?」
「だから、さっき言ってただろ?
保育士に向いてるって言われたって。
俺も向いてると思うけど。」
「そうかなぁ?でも保育士って
ピアノ弾けないと就職とか無理って言うじゃん?
私、ピアノ弾けないし・・・。
今からピアノ習ったって遅いし。」
「やりたい事に遅いも早いもないだろ?
お前がもし本気でやりたいって
少しでも思うなら、やってみてもいいんじゃね?
俺は、お前がやりたいなら応援するよ。」
「実・・・。」
「まー・・・お前が決める事だからさ。
考えてみてもいいんじゃないか?
俺は、お前は保育士に向いてると
思っただけだからさ。
お前の子供好きも面倒見の良さも
知ってるからさ。」
「・・・考えてみるよ。」
「おう。」
葉月は実の言葉が少し嬉しかった
すると今度は葉月が実に・・・
「実は?」
「俺?」
「実の夢は何?やっぱバスケの選手?」
「正直、分かんねぇ。
確かにバスケは好きだけど。
好きなだけじゃ無理な事は分かってんだよ。」
「もしかして悩んでるの?」
「何が?」
「バスケか・・・医者になるか。」
「・・・・・。」
「実のお父さん、実に病院を
継いでほしいと思ってるんだよね?」
「ああ。」
「実は医者になりたくはないの?」
「・・・・・。」
葉月の質問に答えられない実だったー・・・
するとー
「葉月!優太くーん!」
二人を探す紗智の声がした
それに気付いた実と葉月
そして紗智がキョロキョロ辺りを見渡し
実と葉月の姿を見つけた
「葉月!優太君!・・・実?」
紗智が三人に近づいてきた
「実、どうしてここに?」
紗智が実に聞いた
「俺も洸に会いに来たんだよ。
そしたら偶然ここで
葉月と優太に会ったんだよ。」
「そっか。」
「紗智、どうしたの?
洸とはもう話終わったの?」
葉月が紗智に聞いた
「うん。もう、こんな時間だし
外寒いから二人を迎えに来たの。
あっ!優太君、寝てるの?」
紗智は男の子が
寝ている事に気付いた
「うん。何か疲れちゃったみたい。」
葉月が答えると
「かわいい寝顔だね。
けど、こんな所で寝てたら
風邪引いちゃう!早く病室に戻ろ?」
紗智が慌てて言うと
「俺が連れてく。」
実が言った
「実が?」
「ああ。起こすの可哀想だし
それに俺、洸と会いたいからさ。
ついでに連れてく。」
実は、そう言いながら男の子を
おんぶした
「じゃあー私達も行くよっ!」
紗智が言うと葉月は
「分かった!私達は先に帰るよ!」
紗智の言葉を無視するように
先に帰ると言い出した
「葉月?」
紗智が葉月の言葉に驚く
「いいからっ!紗智、帰るよ!」
「葉月がそこまで言うなら・・・分かった。
じゃあ私達、先に帰るね。
優太君の事よろしくね?」
「おう。分かった。」
実はチラッと男の子を見て言った
すると紗智はー・・・
「あと洸にも先に帰ったって伝えといて。
また来るねって。」
紗智は実に、そう伝えた
「・・・ああ。分かったよ。」
実は笑って答えたけど
どこか少し切ない表情だった事に
葉月は気付いていたー・・・
「じゃあー私達、帰るねっ!
実、じゃあね!」
葉月が言った
そして紗智も
「じゃあね、実。」
「ああ。またな。気を付けて帰れよ。」
実は、そう言って病院の中へと向かった
「・・・・・。」
そんな実の後ろ姿を見ている葉月
すると紗智は
「葉月?帰ろ?」
葉月に声をかけた
「あっ。うん!行こう!」
葉月はハッとなり慌てて答えた
紗智の何だか嬉しそうな表情に
気付いた葉月は
「何だか嬉しそうじゃん。洸と話せた?」
紗智に聞くと
「そうかなぁ?でも話せたよ。
何かまた洸と距離が縮まった気がする!」
紗智は嬉しそうに答えた・・・
そんな紗智に葉月は
「そっか。良かったね!」
実の事が一瞬、頭をよぎったー・・・
すると紗智は
「葉月は実と何か話したの?」
葉月に聞いた
「え?別に?たいした話してないよっ!」
葉月は、そう答えた
「そっか。葉月、ありがとね?」
「え!何が?」
「洸と二人にしてくれて・・・。」
「あっ、うん・・・。」
紗智の嬉しそうな顔を見ていると
葉月は何だか複雑だった
親友の紗智が嬉しそうなのは
自分も嬉しい
でも、それはまるで
実を傷付けてるみたいで辛かった
葉月は実の事が好きだったー・・・
実と初めて会った時から、ずっと
けどそれは親友の紗智には言えなかった
葉月の切ない片想いが
どんどん増していった・・・
