clover*


その頃、紗智と洸はー・・・

「花火大会?」

「うん。再来週に開催されるの。」

「懐かしいなー。
去年は花火、見られなかったけど。」

「でも凄く楽しかった!
洸と祭りに行けて凄く嬉しかったよ。」

「紗智・・・。」

「それに洸と高校にも行けたし。
私にとって大切な思い出だから。」

「うん。俺も凄く楽しかった。」

「洸、中庭に二人で行ったの覚えてる?」

「うん。覚えてるよ。」

「二人で見た夜空、凄く綺麗で
今でも、はっきり覚えてて忘れられないくらい。」

「・・・・・。」

洸は中庭での事を思い出していたー・・・

すると紗智は

「ねぇ、洸。聞きたい事があるんだ。」

洸に、ずっと聞きたかった事を
聞こうとしていた

「ん?何?」

洸が聞いた

「あの日、中庭で話してた事、覚えてる?」

「話?」

「洸、私に言ってくれたよね?
来年、絶対に花火見ようって。」

紗智は勇気を出して洸に聞いた

すると洸はー・・・

「・・・・・。」

紗智の言葉を聞いて
思い出そうとしているような
そんな表情で黙ってしまった

そんな洸の表情に紗智は

「覚えてるわけないよね・・・!
だって一年前の事だもん!何か、ごめんねっ?!」

紗智は慌てて言ったが
少し悲しかった

紗智にとって忘れられない一言でも

洸にとって、あの言葉は

ごく自然に言った一言だったんだ

紗智が少し落ち込んでいるとー・・・


「・・・忘れるわけないじゃん。」

洸が一言、呟いた

「え?」

紗智が洸を見ると・・・

「だって俺にとって、あの言葉は・・・
勇気出して言った言葉だからさ。」

洸は少し照れくさそうに言った

「え?覚えてたの?
だって黙るから忘れてるかと思った!」

「ごめん!だって紗智が
覚えてくれてると思わなくてさ・・・。
ちょっとビックリしてさ。」

「忘れないよ。」

「え?」

「だって凄く嬉しかったから。」

「紗智・・・ありがとう。」

「うん。」

「けど・・・ごめんな?
こんな体じゃ無理だな。」

洸が申し訳なさそうな表情で言った

「謝らないで!花火、見られなくても
私は、ただ洸と一緒に居られるだけで
楽しいし嬉しいよ!
だから洸が謝る事なんてないんだよ。」

「・・・ありがとう。」

「いつか行こうよ。
花火、一緒に見たい。洸と二人で。」

「うん。俺も紗智と見たい。
いつか二人で見ような、花火。」

「うん!約束!」

「ああ。約束。」

二人は新たな約束を誓った

それは二人で花火を見る事ー・・・

紗智と洸は照れくさそうだったが

幸せそうな、そんな笑顔だった


「あっ!私そろそろ
葉月と優太君、呼んでくるね?
この時間、外、寒いだろうし・・・。」

紗智は、そう言うと
病室を出ようとした瞬間

「紗智。」

洸が紗智を呼び止めた

「ん?何?」

紗智が振り向くと・・・

「・・・俺さ。」

洸が緊張した表情で
何か言おうとしていた

だがー・・・

「・・・何でもない!
早く二人の所に行ってきな。」

洸は何かを言おうとしたが、やめたー・・・

「うん!行ってくるね!」

紗智はそう言うと病室を出た

「・・・何で言えねぇーんだよっ!」

洸は、そう呟くと頭を掻きため息をついた