「紗智、話そう?」
洸は紗智に椅子に座るよう合図した
「うん。」
紗智は返事してイスに座った
「あっ、ごめんね?急に来たりして
しかも進路に相談したりして・・・。
迷惑だったよね。ごめん。」
紗智は洸に謝った
「何で?俺は嬉しかったよ?」
「え?」
「俺、言ったよね?
何かあったら俺を頼ってって。
いつで来ていいって。
二人が俺に相談に来てくれて嬉しかった。」
「洸・・・。」
「でも役に立てなくて、ごねんな?
偉そうな事言って・・・頼りないよなー。」
洸が申し訳なさそうな表情で謝った
「そんな事ないよ!凄く役に立ってたよ?
葉月だって、そう思ってると思う。
洸は、いつも私達の事を分かってくれてて
いつも真剣に聞いてくれて感謝してる。」
「紗智・・・。」
「私・・・進路の事、今まで全然考えてなくて
最近になって凄く悩んでて
自分の夢とか、したい事とか分からなくて。
でも洸の言葉を聞いて凄く楽になった。
ありがとう。でも・・・。」
「でも?」
「分からないんだ。夢とか。したい事が。
興味があるものとか・・・分からない。」
紗智が少し涙目になるとー・・・
「紗智さ覚えてる?
一緒にテスト勉強した時の事。」
「うん。」
「あの時さ紗智、俺に教えてくれたじゃない?
紗智の教え方、凄く丁寧で分かりやすくてさ。
すげーなっ!って思ったんだ。
しかも実や葉月に教えてる時、凄い良い顔してた。」
「良い顔?」
「うん。何か凄く楽しそうで。
紗智はさ人に何かを教える、伝えるのが
凄く丁寧で凄く心がこもってて。
だからさ人に何かを教えるような仕事とか
向いてるんじゃないかな?」
「人に何かを教える仕事?」
「例えば・・・教師とか?」
「教師?!無理だよ私には!
だって大勢の生徒の前で教えるとか無理・・・。」
紗智が慌てた様子で答えると
「ただ俺は向いてるって言っただけだよ。
紗智が嫌なら無理にとは言わないよ。」
洸は紗智の様子に少し笑いながら言った
「そ・・・そうだよね!ごめん!」
紗智は恥ずかしそうに答えた
すると洸は
「でも向いてると思ったのは
嘘じゃないよ。」
「洸・・・。」
「・・・俺さガキの頃からバスケが好きで
将来の夢はバスケ選手になりたいって
思ってたんだ。
だから高校もバスケが強豪校だった
今の高校に入ったんだ。」
「・・・・・。」
「でも事故に遭って足を怪我して
入院してバスケ選手になる夢は無理だと思った。」
「そんな事・・・!」
「・・・バスケ選手の夢が無理でも
バスケに少しでも関われるような
仕事がしたいなって思ったんだよね。」
「それって、どんな仕事?」
「俺・・・体育の教師になりたい。」
「体育の教師?」
「うん。それでバスケ部の顧問になりたいんだ。」
「バスケ部の顧問?」
「無理だと思うんだけどね・・・。
こんな足じゃ・・・。」
「無理じゃないよ!凄くいい夢だと思うよ!
洸にはバスケ諦めてほしくないもん!
大丈夫!リハビリすれば
歩けるようになるんでしょ?
だったら私リハビリ付き合うよ?
応援だってするから!だから頑張ろうよ!」
「紗智・・・。」
「あっ!・・・ごめん、私・・・。」
「ありがとう。
紗智にそう言ってもらえて嬉しいよ。
俺さ、こんな話するの紗智が初めてなんだよね。」
「え?」
「体育の教師になりたいって話したの
紗智が初めてだよ。
紗智のおかげなんだよ。また夢が持てたの。」
「洸・・・。」
「紗智を励ますつもりが
逆に俺が紗智に励ましてもらっちゃったな。」
「励ましてもらったよ!
私、洸のおかげで夢、持てそうな気がする!」
「ほんと?」
「うん。まだ、はっきりと分からないけど
ちゃんと、やりたい事が見つかったら
洸に話すね!
だから、その時に話、聞いてもらえるかな?」
紗智が洸に言うと
「うん、いいよ。何でも聞くよ。」
「ありがとう。」
二人は互いの夢について話した
紗智は洸のアドバイスで
教師という仕事に
少し興味を持てたー・・・
自分に教師が向いてるかどうか分からないけど
紗智は真剣に考えようと思った
そして洸が自分に話してくれた
体育の教師になる夢
バスケの顧問になる夢
そんな洸の夢を応援したいと
心から強く思う紗智だったー・・・
