紗智は病院で会った愛菜に

自分の気持ちを正直に話した

それは洸に対する想い・・・


そして、洸も病室に来た実に

自分の気持ちを正直に話した

それは紗智に対する想い・・・


「・・・・・・。」

洸の気持ちを聞いた実は

しばらく黙ったままだった

洸も実から目を離さず

実の反応を待っていた・・・

するとー・・・

「・・・分かってるよ。」

「え?」

「お前の気持ち、お前が紗智に
初めて会った時から気付いてたよ。」

「初めて会った時って・・・。」

「お前は否定してたけど
お前は紗智が、ずっと好きだったんだよ。」

「・・・・・。」

「良かったー。」

「え?」

「もし、お前が元カノが好きって言ったら
俺、お前の事、殴ってたかもしれない。」

「実・・・。」

「けど、前にも言ったけど
俺は紗智を譲る気はねーから。」

「・・・・・。」

「正々堂々、勝負して紗智に気持ち伝えて
最終的に紗智がどっちを選ぶまでは諦めねーし。
だから、それまではお前とは
ライバルみてーなもんだからなっ!いいか?」

「ああ。分かった。お前は友達だけど
ライバルだなっ!」

「おう。ダチは変わらねーよ!
ダチだからこそ負けたくねぇんだよ!」

「俺も。負けたくない。」

洸の言葉を聞いた実はフッと笑い

洸も続けてフッと笑った・・・

「じゃあー俺、帰るわ。」

「もう?」

「ああ。洸の気持ちを
確かめに来ただけだからよ。
聞けて安心したし
余計に負けたくねーと思った!」

「うん、俺も思った。」

「じゃあな。」

「ああ。じゃあな。」

実は病室を出たー・・・

病室を出た実はなぜか笑顔だった



その頃、紗智と愛菜はー・・・

「分かった・・・。」

愛菜は小さな声で、そう呟いた

「え・・・?」

紗智が愛菜の言葉が聞こえていなかった

「だから、あなたの気持ちは
分かったって言ってるの!」

愛菜は今度は大きな声で言った

「!」

「言っとくけど私は、あなたの事・・・
好きじゃないし、むしろ嫌いだから!」

「そこまで言わなくても!」

「けど・・・。」

「けど?」

「ライバルとしては認めてあげる。」

「愛菜さん・・・。」

「ただ、それだけだから!
私は洸を渡すつもりもないし
あなたに負けるつもりもないからっ!」

「分かりましたよ・・・。」

「・・・絶対、洸を振り向かすんだから。」

「え?振り向かす?」

「・・・もう話す事ないから。」

愛菜は、そう言うと
その場から走り出してしまったー・・・

「愛菜さん!」

紗智は愛菜の名前を叫ぶが
愛菜の姿は、だんだん遠くなっていった

「・・・・・。」

紗智は愛菜の後ろ姿を見送ると

体の向きを変えて病院を眺めた・・・

洸の病室の窓を見た

「・・・・・。」

紗智は洸に会う為に病院の中へと入った


するとー・・・


「紗智?」

「実?」

紗智の目の前には実が居た・・・

「実、どうしたの?」

「あー・・・洸の見舞いに行って来た!」

「洸の?一人で?」

「まーな。で?紗智は?」

「私は・・・。」

「洸に会いに来たんだろ?」

「!・・・うん。」

「だったら最初っから、そう言えよ。
洸なら病室に居るよ。」

「ありがとう・・・。」

「おう。じゃあな。」

実は、そう言うと歩き始めた

「実!」

紗智が振り返り実を呼び止めた

実は振り返り・・・

「何?」

「・・・色々、ありがとねっ!」

紗智は実に、お礼を言った

「何だよ、急に。気持ちわりーなー。」

「何よ!人がせっかく言ってんのに!」

「いいから早く行けよ。」

「うん!じゃあね!」

紗智は、そう言うと洸の病室へと向かった

「・・・・・。」

紗智の後ろ姿を見送った実はー

「ありがとう・・・か。」

そう呟いて病院の外へと向かった