「うん、覚えてるよ!
その女の子とはどう?」
「緊張して上手く話せないんだ。
せっかく、お姉ちゃんが
応援してくれたのに・・・。」
男の子が落ち込んだ表情で言った
「優太君、大丈夫だよ!
緊張しちゃうのは仕方ないよ!
だって、それって好きだからでしょ?」
紗智が慌てて男の子を励ますと
「お姉ちゃんは好きな人居るの?」
男の子が紗智に聞いた
「・・・好きな人・・・居る・・・よ。」
紗智は戸惑いながらも素直に答えた
「お姉ちゃんは、
その人と緊張しないで話せた?」
男の子の質問に
紗智は洸と出会った時を思い出しながら答えた
「もちろん緊張したよ。優太君と同じ。
ドキドキして顔も見れないくらい。
でもね、向こうから話しかけてくれたの。
緊張して話せない私に笑顔で。」
紗智は初めて会った時の洸の笑顔を思い出す
「お姉ちゃんは、どうして、その人を
好きだって思ったの?」
「うーん、いつとか何でとか
正直、分からないんだ・・・。
いつの間にか好きになってたかな。
その人と居ると凄く楽しかったり
幸せな気分になるの。
優太君は何で、その子の事が好きになったの?」
「僕も分からない。
でも、いつも僕に笑顔で話しかけてくれるんだ。
おはよう!って言ってくれて。
凄くドキドキして・・・好きなっちゃったんだ。」
「その子、優しい女の子なんだね。」
「うん!みんなにも動物にも優しんだ!
それにね勉強も運動も出来て凄いんだよ?」
「へー凄いね!」
「でもね、僕は勉強あんまり好きじゃないし
体弱いから運動も出来ない。あの子とは全然、違うから
僕なんか好きにならないよね・・。」
「そんな事ないよ!勉強も運動も出来たら
それはカッコイイかもしれないけど
大事なのは好きな人の為に頑張れる事じゃないかな?」
「好きな人の為に頑張る?」
「うん。勉強も運動を頑張るのもいいと思うけど
例えば好きな人が悩んだり苦しんでいたら
側に居てあげたり励ましてあげたり・・・。」
紗智は、そう言いながら、ふと思い出していた
自分が今まで洸が悩んだり苦しかった時に
側に居られなくて励ます事も何も出来なかった
したくても出来なかった
小学生の男の子に、こんなアドバイスをしても
良いのか少し不安になったー・・・
「・・・・・。」
紗智が黙っていると
「どうしたの?お姉ちゃん。」
男の子が心配そうに紗智を見た
「あっ、ごめん。大丈夫だよ。
ごめんね?上手く答えてあげられなくて・・・。」
紗智が申し訳なさそうな顔して言った
「お姉ちゃん!僕、分かったよ。」
「何を?」
「僕、勉強も運動も頑張るし
病気も治して強くなる。
そして好きな子の為に」
「うん、頑張って!」
「ありがとう!
じゃあー僕そろそろ行くね。」
「分かった。優太君の見舞いにも来るね。」
「ありがとう!」
男の子は、そう言うとベンチから立ち上がり
「あっ。ねぇ、ねぇ!お姉ちゃん!」
紗智の袖を引っ張りながら言った
「ん?何?」
紗智は男の子の目線に合わすようにして
しゃがみこんで顔を近づけた
「お姉ちゃんは、あのお兄ちゃんが
好きなんだよね?」
「え?!」
「お姉ちゃんも頑張ってね!
僕も応援してるから。」
「優太君・・・。」
「僕ね、お姉ちゃんも、あのお兄ちゃんも
二人とも好きだからさ。」
「ありがとう・・・。」
「じゃあー僕から、これをあげる!
手、出して?」
紗智は男の子に言われて右手を出した
すると男の子は紗智の手に何かを乗せた
それはー・・・
「アメ?」
「うん!これ舐めれば勇気が出るよ!
お姉ちゃんに勇気をあげる!」
男の子は、そう言うとニコッと笑った
「ありがとう!私も頑張るね。」
紗智もニコッと笑いアメを見た
笑顔で手を振り歩いていく男の子の姿を
見送った紗智は
男の子から貰った勇気が出るアメを口に入れた
「あまっ・・・!でも美味しい・・・。」
不思議と勇気だけだはなく
元気が出たような気がした
